東京オリンピックの真の効果、豪・英の事例から日本独自のめざすべき姿を探る
ツーリズムEXPOジャパン2014国際観光フォーラムより
東京オリンピックをバネにインバウンド3000万人達成に向けて
成熟した都市でのレガシー創造が東京の課題
オサリバン氏、ロドリゲス氏の発表を受け、JNTO理事長の松山氏は、「2020年は東日本大震災から生まれ変わった姿を広める機会としたい」とメッセージを提示。これを実現するために克服すべき課題として、「地方への効果波及」、「開催年の訪日客減少の最小化」、「メディアの日本のポジティブなイメージ発信」をあげた。
また、「東京オリンピックは、成熟した都市でのレガシーをいかに創造するかも問われている」と述べ、5つの案を発表。「バリアフリー対策、環境に優しいエコ五輪の実現」、「観光地・MICE開催地としての魅力発信による日本のブランド確立」、「国内における観光業の重要性の認知浸透」、「オリンピック効果の地方波及」、「ボランティア精神の継続」をレガシーとすることで、「2020年2000万人は達成できる。3000万人への足固めにしたい」と述べ、同時に観光の質の向上を図っていく考えを示した。
2000万人達成時の業界は変わっていなくてはならない
3人の発表を受けて、モデレーターを務めた首都大学東京教授で観光庁参与の本保氏は、「観光のレガシーに対する統一した考えを持つ必要があるか」、「それはトラベルデスティネーションとしてのイメージを作ることではないのか」と、2つの問題提起をした。
これについてオサリバン氏は「レガシーについては一つではなく、複数の考えを持って臨んだ。ただし目標は明確で、シンプルな戦略で効率的に実施した」と説明。リファイ氏も「国や町、国民が以前よりも改善された環境にあること。この定義で考えれば複数のレガシーの考え方でよい」との認識を示した。
また、ロドリゲス氏は、「6年間で2000万人に倍増するなら、全く違う業界にならなくてはならない」と指摘。「2000万人に増やすなら、日本が他国の目にどう映るかを意識して動いてほしい。例えば、外国人雇用も必要ではないか」と提言した。
最後に本保氏は、「日本がするべきことは、日本らしいものを考えて残していくこと。日本人の目も大切だが、他国の目に映る姿を意識し、イメージを伝えることが重要」と述べた。その上で「東京オリンピックを『日本オリンピック』に作り上げることが課題であり、実現できれば東京オリンピックは成功である」とまとめた。