年頭所感(2)-顧客視点を重視、羽田国際線増加に期待
▽日本航空
代表取締役社長 植木義晴氏
2014年は中期経営計画の経営目標を着実に達成し、「新たな成長を開始する」重要な一年であると考えている。安全運航の堅持を大前提として、羽田空港国際線発着枠の増加や、訪日外客の増加などのビジネスチャンスを確実に捉え、競争に勝ち抜き、永続的に存続・発展していくJALグループを創り上げるべく、引き続き挑戦していく。
「世界一お客さまに愛され、選ばれる航空会社」となるため、国際線と国内線の双方で、機内サービスの新たな創造にチャレンジしていく。国際線では“ひとクラス上の最高品質”をめざした座席を装備した「SKY SUITE 777(スカイスイート777)」と「SKY SUITE 767(スカイスイート767)」を新路線へ順次導入していく。
国内線では、本邦航空会社で唯一国際線機内で提供している機内インターネットサービスを他社に先駆けて導入する。また、国内線普通席の足元スペースを今よりも広げ、クラスJや普通席には本革仕様のシートを採用するなど、機内インテリアも今以上に先進的で洗練されたものに一新する。
お客さまのご搭乗に感謝し、社員一人ひとりが心をこめてお届けするJALの「新しい空」に本年も期待して欲しい。
▽ANAホールディングス
CEO 伊東信一郎氏
2014年は、航空業界では春の羽田国際線の昼間帯発着枠の拡大で、新規路線が続々開設される。羽田の国際化は全日空にとって長年の悲願であり、粘り強くその必要性を説いてきた。地方発の国際線接続では長らく仁川空港に後塵を拝している訳だが、日本の空の玄関口の充実や内際ハブ機能の強化、更に国内線で最大ネットワークを誇る全日空の優位性確立という点で、大変画期的な出来事だ。
羽田国際線の拡充を機に、ANAグループの次の飛躍が始まるのだと言っても過言ではない。施設や人員面など様々な課題はあるが、羽田国際線の意味、そして成田と併せたデュアルハブ機能強化の重要性について今一度理解し、このチャンスを最大限活かして欲しいと思う。
競争環境は益々厳しさが増してくる。アベノミクス効果で輸出企業を中心に好調な反面、長期的なトレンドで見れば少子高齢化や生産年齢人口の減少など、国内市場は縮小傾向にあるというのも現実だ。
こうした環境の下、今年は一言で言えば「グループをもっと強くしたい」ということにつきる。ホールディングス体制のもと、個社・グループ共にしっかり利益を出して、株主や社会、従業員に還元し、将来にしっかり投資していくという正の循環を作っていきたい。
今年、特に力を入れていきたいことは3点。1点目は「業務プロセスの大改革」だ。コストや生産性を可視化し、視点を変えることで、やれることが沢山見つかるはずだ。
これまでのビジネスのあり方についても、近い将来を予測し再考してみて欲しいと思う。LCC事業を始めてわかったことは、航空事業はまだまだ創り出せるということ。考え抜いて作り込めば、他社には真似のできないANAグループの強みが生まれるものと確信している。
2点目は「本格的なグローバル対応」。世界の知見を更に活用すべく外国人の活用や採用、更に体制整備を含め、本格的なグローバル化に着手していく。 3点目は「活気あるANAグループの再創造」。ホールディング体制になった中、改めてグループ全体で、安全、品質、収益改善、業務プロセス、生産性、コストなど、会社の全ての活動の基本となるボトムアップ機能の強化に取り組み、グループ全体の更なる活力を創造していく。