年頭所感(1)-海外旅行50周年に期待、訪日取り組み強化
▽KNT-CTホールディングス
代表取締役社長 戸川和良氏
2013年は、伊勢神宮、出雲大社のご遷宮をはじめ、東京地区、富士山といった注目観光地、またクルーズ旅行などが人気を集めたが、「コモディティ化」という課題を抱える状況に大きな変化は見られなかった。
「コモディティ化」とは、お客様に提供する商品が個性を失い、機能や品質、ブランド力などが均等化され、価格や容易に購入できることだけを理由に選択される状況のこと。お客様にとって、旅行会社を利用しても直接サプライヤーから購入しても同じ状況になることにより、結果的に価格競争のみに力点が置かれ、それが企業収益を悪化させる最大の要因になっている。
こうした環境の中、私たちは、売上高・市場シェアの拡大だけが目的ではなく結果の1つであることを認識し、企業に高い利益をもたらす経済活動領域を起点としてビジネスをデザインし、またそれを時代に対応しながら革新していく必要がある。
統合シナジーの加速に向け、本年1月より組織の一部改正をおこなった。特に注目点は、「スポーツ事業部」および「地域事業部」の設置。2020年の東京五輪開催決定で今後市場の拡大が見込まれるスポーツ関連事業、地域誘客・交流事業に関して、グループ全体の営業戦略の立案および推進の指導、情報の収集・提供などの機能を有する専門部署を設置し、グループ全体で一層の取組強化をはかる。
加えて、アジアを中心とした訪日個人旅行事業について、ホールディングス主体の取り組みを進めるため「訪日FITセンター」を新設。特にアジア地域は、今後の経済成長や所得水準の上昇などを背景に、グローバルなアウトバウンド市場でも存在感を高めてくることが予想される。今後も訪日旅行部が中心となり、中期経営計画の重点施策でもある「アジアを中心としたグローバル事業の展開」を将来の中核事業にすべく、より一層推進する。
IT環境の急速な進展で、お客様自身が多くの情報を容易に得ることができる現在、社員がプロフェッショナルとしてのプライドを持ち、お客様を上回る有効な情報、知識と経験を身につけ、皆で協力し合いながら提供する商品サービスの高度化をはかり、ロイヤルティの高いパートナーとしてのお客様を増やしていかなければならない。グループ社員の一人ひとりの研鑽努力と連携強化に強く期待するとともに、そのための投資もさらに充実していきたい。
▽日本旅行
代表取締役社長 丸尾和明氏
2013年は中期経営計画「ACTIVE2016」の初年度として、ビジネスモデル転換を具体化する各種施策の実行に取り組み、特に法人・個人両部門で新たに重点顧客層を設定し、お客様のすそ野の拡大、リピーター化等に強力に取り組みを進めた。
具体的には、教育旅行のE2なび(いーなび)やNASAの元宇宙飛行士講義などのコンテンツの拡充、BTMへのシステム営業・MICE需要への取り組みとして沖縄インバウンドMICE営業部の設置などだ。
さらに国内でのTDR30周年、伊勢・出雲の遷宮等の各種イベントにも支えられた国内旅行の需要増、ビザ緩和などに伴う訪日旅行の拡大を受け、ACTIVE2016の初年度として一定の成果があったと考えている。
2014年度はACTIVE2016の2年目として「ビジネスモデル転換の早期実現」を最重点として取り組んでいく。具体的には、法人営業ではビジネスモデル転換に向けた中核分野として、教育旅行、MICE、BTM、訪日旅行への取り組みをさらに強化する。
個人旅行営業では、インターネット販売を一層強化するとともに、重点顧客層と位置付ける「熟年・シニア」「女性」への取り組みを強化し、JRセットプランやヨーロッパ商品の販売拡大を各部門一体となって推進する。こうした取り組みをスピード感を持って組織的に推進し、継続的に発展する日本旅行グループを全社員の力で築き上げていく。