トップインタビュー:ジェットスター(後)、グループ展開と他社との差別化
-新興LCC3社が注目を集めていますが、LCCの中での差別化は
片岡 我々には、これまで5年間LCCとして運航してきた実績がある。ジェットスターのブランド構築に費用と時間を投じてきており、それなりに認めてもらってきている。
さらに、カスタマーサービスでも、他のLCCと差別化している部分もある。例えば便が遅れてオーバーナイトディレイする場合にも、ホテルでの宿泊を出したり、他社便に振り替えたり、リファンドしたりと細かいルールが決まっている。「LCCは何もしてくれない」などといわれるような会社にならないようにしようとやってきた。この実績を市場に理解してもらえれば、大きく差別化できるだろう。
-日本航空(JL)との連携についてはどのようにお考えでしょうか。またカニバリゼーション(市場の食い合い)への対策をお聞かせください
片岡 連携は今後出てくるとは思うが、今はJL便とのコネクションまで考えて細かくスケジュールを設定する余裕がない運航形態だ。もちろんGKの株主であり、可能性を考慮していくとは思う。
カニバリゼーションはある程度起きるだろう。JLと数年単位の時間を費やして話を煮詰めてきた中で、その内容のほとんどがカニバリゼーションについてだった。しかし、それを最小限に抑え、それよりもプラスの方が多いという結論に自信を持って至ったので、今回JLも出資をしたということだ。
オーストラリアでは、JQができてからカンタス航空(QF)の実績もわずかだが伸びており、実質的にカニバリゼーションは起きなかったといえる。
-直販比率の目安など、日本市場での流通戦略をお聞かせください
片岡 それぞれの地域によって売り方を変えている。ジェットスターはこれだ、と決めてしまうと失敗することが多いと思う。例えば、オーストラリアでの直販比率は80%で、他の航空会社からのインターラインも15%程度入る。東南アジアでも直販が80%程度だが、BLでは、パソコンの普及率がまだ低いため、カウンターを多数置いており、直販比率も低い。
日本でも、これまでオーストラリアと東南アジアの国際線を売ってきたが、旅行会社経由の売上が約6割。GKにしても、最終的には最大限にジェットスターのブランドと運賃をお客様にお伝えするために、直販もしつつ、旅行会社にパッケージや団体、修学旅行、エアオンなどすべて取り扱っていただこうという方向になっている。
オーストラリアでの創業以来、我々はできる限り安い運賃を提供して、できる限り旅行に行っていただき、楽しい思いをしていただきたいと社員全員が願っている。それがようやく日本の国内線でも叶う段階に来た。地方と大都市との格差を旅行業も含めて活性化し、日本を元気にできるのではないか。旅行会社の皆様もそういった形で一緒に盛り上げられるように、ご協力いただければ非常に嬉しい。
-ありがとうございました