現地レポート:フランス(1)、ミディ・ピレネーで新しいフランスを発見

  • 2012年5月10日

ミディ・ピレネーで新しいフランスを発見
パリとの組み合わせで広がる可能性

聖地ルルド、奇跡の泉からパワーをもらう

ルルドの城壁に登れば、町が一望できる。ルルドは小さい町なので歩いて回るのが一番

 聖地ルルドはミディ・ピレネー観光のハイライトのひとつ。人口1万5000人足らずの小さな村だが、ルルドの奇跡として世界中のカトリック教徒に知られ、巡礼者や観光客など毎年600万人以上が訪れる。町には189のホテルがあり、そのベッド数はパリに次いでフランスで2番目に多いというから驚きだ。

奇跡の泉が湧き出る洞窟。ここでは定期的にミサも行われる。それ以外の時は自由に入ることが可能だ

 奇跡の始まりは1858年2月11日、村の少女ベルナデット・スービルーが郊外の山で薪を集めていたときに聖母マリアに出会ったことに遡る。その後、18回にわたって聖母マリアが彼女の前に出現。9回目のときに、ベルナデットはお告げに従って洞窟に手で触れると、そこから泉が沸き出した。その水を飲んだ人は病気が治るという奇跡が続き、その話はフランスからヨーロッパ全体に伝播。ルルドに奇跡を信じる人々が集まるようになった。

サンクチュアリー周辺のお土産屋では、奇跡の水を持ち帰るためのボトルも売っている

 現在、洞窟のうえにはバジリカ(教会)が建てられ、周辺はサンクチュアリー(聖域)として信仰の場所となっている。洞窟の奥には、泉の水源される場所が大切に保護され、岩に滲み出る水に触れる信者や観光客が列を作る。洞窟の脇にはその泉を源泉とする聖水を汲める場所があり、奇跡にあやかろうとする人たちが後を絶たない。ルルドの泉に加えて、この聖域を世界的に有名にしているのが、毎年イースター後から11月頃まで毎夜行なわれるキャンドルの行列だ。一人一人がキャンドルを手に聖域内を回る。これを目当てにルルドを訪れる人も多いという。

 フランス観光開発機構(ATF)の高橋しのぶ氏によると、カトリックの聖地とされていることから、修学旅行先としてルルドを選ぶ日本のミッション系高校もあるという。また、ルルド観光局のコリーヌ・ロッス氏は国際マーケットについて「やはりカトリック国からがほとんど。日本人はまだ少ないが、最近増えつつある」と話す。カトリックの聖地というよりもパワースポットと位置づければ日本でも訴求力は高まるかもしれない。

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取材協力:フランス観光開発機構エールフランス航空ミディ・ピレネー地方観光局
取材:山田友樹