インタビュー:ジャッツ東京ツアーコンダクターセンター添乗員 茂木隆一氏

  • 2011年11月28日

継続のコツは気持ちの切り替え 添乗員同士の情報収集も重要

-お客様と接する上で、気をつけていることはありますか

 ヨーロッパの場合は、初めてヨーロッパを訪問されるお客様が多いので、はじめはどことなく緊張感が漂っている時もあります。そこで、添乗員ならではの工夫が必要です。私は、お客様に楽しんで下さい、というスタンスを示すことで、肩の力を抜いてツアーを楽しんでいただき、ツアー全体がわくわくした雰囲気の中で進むように工夫しています。

 現地のガイドさんに言われますが、待ち合わせ場所に来るときの雰囲気でツアーを楽しんでいるか、うまくいっていないかが分かるそうです。添乗員の雰囲気がぴりぴりしすぎると、お客様にも反映してしまいますし、そんな中ではツアーも楽しめません。私は例えばホテルに入る時にニコニコしながら入るなど、リラックスした雰囲気で楽しんでもらえるように心がけています。

 もちろん、お客様にいい加減だな、と思われてしまってはいけませんから、旅程管理は緻密にこなしますし、ホテルのオーバーブックなどには毅然とした態度で対応します。さらに、常に先を読んで仕事をするようにしています。現場では、土日祝日に病気やけが、レストランの予約など新しい手配などが発生するケースが多いので、2、3日先を読んで考えておくと、どう行動すればいいのかわかります。

 また、クレームの対応にも気をつけています。クレームは決して持ち帰らず、業務中に解決する!これが鉄則です。仕事中に解決してしまわないと、事後処理などが長引き、次のツアーに行くことができなくなってしまうこともあります。クレーム自体以外でも、1人のお客様がクレームをツアー内で吹聴することで、お客様全体の雰囲気が悪くなってしまうことがあります。我々は誕生日プレゼントなどに使うため一定の予算を持っており、そういう時はワインのサービスやちょっとしたギフトを提供し、リカバリーをはかっています。


-長年添乗をされてきた中で、お客様の傾向などについて変化を感じたことはありますか

 昔に比べ、お客様の個人主義化が進んでいるように思います。昔はツアーの成功はグループ全体の雰囲気が良いか否かにかかっていました。今は、お客様個々人も満足する必要があります。たとえば、昔はフリータイムも皆で行動するような雰囲気がありましたが、今は個別で楽しむ傾向がありますね。レストランの個人手配も増えてきています。

 また、ツアー自体の傾向も変化しています。80年代、90年代は一捻りしたツアーがあったものですが、今は広く一般化し、オーソドックスな内容になってきているようです。たとえば、以前はイタリアでアグリツーリズモ、農家滞在といったようなひねったツアーもありましたが、今は1ヶ国に絞った8日間の商品が売れ筋です。もちろん、売れる商品を作らなければなりませんが、一般化するあまり、VIPの顧客を逃しているのではないかとも感じています。