20代インタビュー:グランドツアー代表取締役 髙野博幸さん(28歳)

20代応援企画!
社長になって見えたこと-若さで新しい旅行業を切りひらく

-20代の経営者は、旅行業界においては珍しい存在ですよね。若さが仕事の妨げになることはありますか

 私は、20代だから許されることがあると考えています。例えば40代や50代は、がむしゃらで必死な姿だけでは評価されませんが、20代なら「がんばっているな」と思ってもらえます。また、名刺は肩書き入りと無しのものとを使い分け、新規営業の時など、相手によっては肩書きのないものをお渡しし「かわいがってください」と懐に飛び込みます。

 また、日本において現在の旅行業はすでに成熟した産業であり、既成の枠組みを壊して新しい旅行業の形を作っていかなければなりません。でも、今のところ誰もそれはできていない。業界を改革するような新しい仕組みを作るには、子どもの頃からインターネットなど新しいツールに親しんできた若い世代の方が有利だと考えます。

 そう考えると、20代だからできることがあるので、若さはハンディではありません。ただ、同世代の経営者が周囲にいないので、悩みを気軽に相談できる相手がいないのは残念ですね。


-最後に、これからの旅行業界の展望や将来の目標をお聞かせください

 旅行業に関しては、若い人にもっと旅行に行ってもらいたい。私の世代より下の今の大学生は旅行機会が少ないと聞きますし、これでは市場が縮小する一方です。旅行をして違う国の文化に触れ、考えることは、今の自分を見直すきっかけとなります。そのような旅の魅力を発信していくと共に、国には施策として、若者の旅行機会を増やすよう取り組んでほしいと強く望んでいます。 

 目標としてはまず今の時代、ネットで集客できなければどうしようもありません。弊社でもiPhone向けのアプリを開発しはじめています。旅行には直接関係なく、まだ収益性もありませんが、地図上に銀行ATMの場所を表示するもので、多くの方にダウンロードしていただいています。まずはアプリがどのように使用されるのか流れを把握し、ゆくゆくは旅行とつながるような形で活用したいと考えています。

 また、私はまだ28歳ですし、旅行以外のビジネスを立ち上げてやっていきたいという気持ちもあります。もちろんそれが旅行と関係があればなお良いのですが。アイディアを色々と考えるのは好きなんです。ただ、それを実現させるのは1人では無理で、人の力が絶対に必要です。これに気付いたのは今の立場になってからです。


-ありがとうございました



トラベルビジョンが選ぶ髙野さん流仕事の極意

★名刺を使い分け、若さを意識的に活用するなど、柔軟かつ冷静な観察力・判断力
★旅行業以外の分野からも旅行業の発展につながる戦略を立てる
★自分ができること、できないことを理解し、周囲の力を頼る

 「実は、こう見えてけっこう腹黒いと思います」と笑顔を見せた髙野さん。スポーツマンシップに溢れた熱血漢で、抜群の行動力がある反面、名刺を使い分けるなどしたたかに相手の反応を観察・分析する、冷静な経営者としての顔も持ちます。

 「仕事も人間関係も等価交換で成り立つ。自分の持っているものを差し出し、報酬を受け取る」という経営者としての哲学と、父親から譲り受けた、千葉厄除け不動尊の「ありがとう」と書かれた座右の銘を大切に守る青年らしさのギャップが、多くの人に受け入れられる理由だと思いました。ありがとうございました