天災と危機管理 クラツー関西国内旅行Cの対応から(2) 台風21号・延泊、事後処理…判断に悩む
一方、すでにツアー中の客の対応も池谷さんに課せられた重要事項だ。「日程通りにお帰りいただくことが第一です。鉄道が運休した場合はバスに振り替えます。添乗員からセンターには逐一連絡が入り、道路が閉鎖された、風雨が強いなど動くことが危険と判断した場合は延泊という措置をとります」。
ただ、この時がトラブルにつながりやすいのだという。「帰らせろ、というお客様もいますし、延泊の場合、お客様にも負担いただかなくてはなりません。添乗員が現場で安全を第一にした対応であること、道路状況や、大阪に到着後の公共交通機関の情報などを正確にお客様にお伝えすることが大事です」。
台風21号は大阪も直撃した。「時短社員やアルバイトのスタッフは帰宅、自宅待機とし、3日夕刻には『明日は無理して出社しなくていい』と伝えました。4日は普段の半数ぐらいが出社しました。その夜に新大阪に帰ってくるバスがあったので、私を含め10人のスタッフがそれを見届けて、運転再開したばかりの終電で帰宅しました」。
台風21号で同センターの売上数千万円が飛び、延泊や代替バスの手配などで数百万円の負担があったという。「2日や3日出発のツアーをそのまま催行した判断はどうだったのかと今も悩みますね」と池谷さん。
台風の事後処理も終わらぬ6日早朝、就寝していた池谷さんは社内メールにたたき起こされた。
台風21号の事後処理もようやく落ち着き始めたと思った矢先だった。9月6日午前3時半過ぎ、クラブツーリズム関西国内旅行センターの北海道担当チーフが同センターのグループラインに「地震発生!」と投稿。最大震度7の北海道胆振東部地震発生を知らせた。
その直後から、北海道方面の担当者が現地添乗員と電話で連絡をとり、お客様の安否確認と現状の把握に努めた。
関西国内旅行センターで当日、北海道に送客していたツアー客は約140人。添乗員は引き続きツアー客の安全確保に奔走。朝5時までには全員の無事が確認された。
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情報提供:トラベルニュース社