アメリカの「今」を駐在員の視点からーコロナ後のファーストクラス、日米比較
6月12日より、米国入国に必須となっていた新型コロナウィルス陰性証明書の提示義務が撤廃されました。米国を旅行先に選んでいただけない要因のひとつとなっていたのは勿論、米国民も海外旅行を倦厭してしまう要因にもなっていたため、米国内エアラインやホテル企業からも撤廃が求められていました。筆者はじめ、ツーリズムに携わる人々は「ひとつハードルが無くなった」との想いであることと存じます。
先月ゴールデンウィークに渡米した折、運よく日米それぞれのファーストクラスに搭乗する機会に恵まれたので、コロナ後にファーストクラスのサービスに変化はあったのか、日米エアラインを対比させながらレポートさせていただきます。
日本航空(JL)ファーストクラス (羽田空港~ジョン・F・ケネディ空港)
羽田空港では、先月の渡米時にはまだ必須だったPCR検査陰性証明書、ワクチン接種証明、米国疾病予防管理センター(CDC)の宣誓書をチェックイン時に提示。なお、JFK空港での米国入国審査の際にはこれら書類の確認は一切行われませんでした。
搭乗前に利用したJLのラウンジは、座る場所を探さなければいけないほど混雑していて驚きました。当時はビジネスクラス利用客向けのサクララウンジはクローズしており、ビジネスクラス利用客もファーストクラスラウンジを利用できる対応となっていたことが混雑の原因のようでした。
ラウンジ内のサービス水準はほぼコロナ前と同様です。一時期中止されていた職人さんに目の前で握っていただけるお寿司の提供やシャワールームサービスも復活しています。そのほか食べ物、飲み物の種類も元通り豊富でした。変わったのはソーシャルディスタンスにかなり配慮されていることです。4名がけのテーブルでも3名分の椅子には「感染防止のためこのお座席はご利用いただけません」のボードが置かれ、1名のみ座れるようになっていました(ご家族など同一グループの場合は相席可能)。米国ではソーシャルディスタンスの概念が消えかけてしまっており、日本との温度差が感じられます。
加えて、コロナ前と変わったことは食事の提供方法です。食べ物はテーブルに貼ってあるQRコードを読み込んで注文。飲み物と封のされたスナック類を除いてバイキング形式は廃止され、基本的にスタッフの方にテーブルまで持って来ていただきます。スマートフォンを持っていない、また扱いに慣れないお客様は直接スタッフの方にオーダーすることになりますが、多少迷ってしまうのではないかと想像しました。米国のエンターテインメント観光、特にご要望いただくことの多い野球観戦チケットやミュージカルチケットは完全にQRコードチケットが定着しており、スマートフォンを持たないお客様のチケット手配に難儀する場面と重なって見えました。
次ページ >>> 日米で大きく異なる感染症対策