「ワクワク大陸」オーストラリア、完全回復へ現地は準備着々、日本市場に期待も
オーストラリアは日常を取り戻し、旅行観光産業のリカバリーに全力を注いでいる。一時期は「要塞」と表現されるほどの厳しい入国制限を敷いていた同国だが、昨年11月からは大幅に要件を緩和。この5月15日から18日にかけては、旅行商談会「Australian Tourism Exchange(ATE)」を3年ぶりに対面式で開催した。コロナ禍の今後の動向には不確定要素もあるが、そうしたなかで日本市場での観光マーケティングに携わる関係者が現況をどう分析し今後どのように活動していく方針かまとめた。
オーストラリア政府観光局(TA)は日本を含む15ヶ国を重点市場に指定しており、コロナ後も引き続き積極的に活動していく計画。4月には日本市場で13年ぶりとなる大型のキャンペーン「ワクワク大陸、いよいよ再開。」を始動し、新聞広告や屋外広告、デジタル広告を組み合わせて同国の開国と魅力を強くアピールしている。(同キャンペーンの概要や活動方針はこちら)
旅行者・座席は来年にも完全回復か
今回のATE取材に合わせてトラベルビジョンではTAに加えて日本市場に担当者を置いているニュー・サウス・ウェールズ州政府観光局、クイーンズランド州政府観光局、ビクトリア州政府観光局、西オーストラリア州政府観光局、ノーザンテリトリー政府観光局、ケアンズ観光局、ゴールドコースト観光局の8団体にアンケートを実施。
まず日本人旅行者数が2019年水準を回復する時期について、「2022年下期」「2023年上期」「2023年下期」「2024年以降」を選択肢として聞いた質問では、22年下期はゼロだったものの、23年上期は2団体、同下期も3団体となり、過半数が遅くとも23年末までの回復を予想した(下表参照)。
例えば西オーストラリア州は2019年下期に全日空(NH)がパース線のデイリー運航を開始して大きく人数が増えていた経緯があり、現時点では来年上期と見るもののパース線が早期に復便すれば年内の完全回復もあり得ると期待している。
また、座席供給量の回復見通しについても聞いたところ、人数と同様年内の回復を予想する団体はなかったが、4団体が23年上期と回答。次いで同下期が2団体、24年以降が2団体だった。
旅行者数 | 座席数 | |
---|---|---|
オーストラリア政府観光局 | 2024年以降 | 2024年以降 |
ニュー・サウス・ウェールズ州政府観光局 | 2023年下期 | 2023年上期 |
クイーンズランド州政府観光局 | 2024年以降 | 2023年下期 |
ビクトリア州政府観光局 | 2024年以降 | 2024年以降 |
西オーストラリア州政府観光局 | 2023年上期 | 2023年上期 |
ノーザンテリトリー政府観光局 | 2023年上期 | 2023年上期 |
ケアンズ観光局 | 2023年下期 | 2023年上期 |
ゴールドコースト観光局 | 2023年下期 | 2023年下期 |