地域に分け入るJAL社員たち~熊本県編~
「UKINISUM」で定住を促す宇城市
熊本地震の経験とともに益城町の魅力を伝える
客室乗務員や業務企画職など、幅広い職種の社員が各都道府県の自治体等に出向している日本航空(JAL)。シリーズ「地域に分け入るJAL社員たち」では、出向者と自治体の担当者、それぞれの目線で地域の魅力や課題、相互への期待などを語っていただくことを通して、ポストコロナに向けた地域創生を考えていく。
全国でも有数の農業県・熊本。2016年に発生した熊本地震も記憶に新しいが、被害の大きかった地域での復興も進み、各市町村では新たな魅力の発信に取り組んでいる。
熊本県宇城市
市長政策部企画課 広報プロモーション係 大田圭子さん
宇城市は、1年中さまざまなフルーツを満喫できる「フルーツ王国」です。主役となる生産物がどんどん入れ替わるため、ぼんやりしていると食べ頃を逃すこともしばしば。そのなかでも、シャインマスカットのビジュアルと美味しさには衝撃を受けました。首都圏ではおそらく数倍の価格のものが、お手頃価格で店頭に並び、旬の時期は、直売所の開店と同時に箱単位で飛ぶように売れていきます。また、宇城市は花木類の栽培も盛んで、特に洋蘭の生産量は全国でもトップクラスです。こちらも、市内では信じられない価格で購入することができます。これらは、ふるさと納税の返礼品としてもお求めいただけますので、ぜひ多くの方に知っていただきたいです。
宇城市は良い物がたくさんありますが、情報発信が少ないと感じました。今年度は、市が作成している定住促進サイト『UKINISUM(ウキニスム)』(※)を有効活用し、市民の皆さまはもちろん、外部の方へも宇城市の魅力を発信したいと思っています。今年の4月には市の『不知火美術館・図書館』がリニューアルオープンしました。こちらも併せて活用しながら「住んでみたい・住み続けたい・行ってみたい」と思っていただけるようなまちづくりに取り組みます。宇城市の魅力を「面」で見せながら、継続的に外部に情報発信できるような仕組みづくりも検討中です。
※UKINISUMは、主義や流儀、傾向などの「ISM」と「宇城に住む」を合わせた造語
宇城市には世界文化遺産「三角(みすみ)西港」がありますが、来訪者も減少しつつあり、新規客の集客力が弱いのが現状です。また特産品は不知火が有名ですが、最近は他の産地に押され気味です。ちなみに、宇城市不知火町はデコポン発祥の地。デコポンはJA熊本うきが登録商標を持つブランド名で、不知火はその品種名です。
宇城市は宿泊客よりも、日帰りやドライブといったニーズが多いので、今後は、宇城市の食のブランド化、コト体験のコンテンツ化などを組み合わせ、プチトリップ体験ができるような『寄り道したくなるまち』を目指し、宇城市の魅力を感じていただける仕掛けを考えていきます。
市長政策部次長兼企画課長 福田真治さん
なんといっても、2015年に世界文化遺産に登録された「三角西港」。明治三大築港の1つで、756メートルにもおよぶ石積みの埠頭や水路、建造物など、築港当時の姿が完璧に現存している国内唯一の港です。また、年間通してフルーツが豊富です。なかでも「清美」と「ポンカン」を交配して作られたデコポンは糖度が高く食味が良い逸品です。そして牛肉も絶品! 国内トップクラスの牧場で飼育された最高級黒毛和牛ブランド「黒樺牛(くろはなぎゅう)」は、ふるさと納税返礼品の1つでもあります。
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