星野リゾートが注力する6つのマイクロツーリズム市場とは?サブスクやポイント開始-海外はグアムに自信、2022春発表会
サブスクリプションサービスに参画、70歳以上に「定期券」
「新たな市場創造」では、KabuK Styleが提供する、毎月定額で世界中の宿泊施設に宿泊できるサブスクリプションサービス「HafH」と提携。4月13日からHafHで「BEB」「OMO」の計13施設の予約ができるようにした。星野氏はサブスクリプションサービスとの提携について「ここ数年考えてきたが、単なるディスカウントというイメージがあった」としながらも、HafHの利用者との個別インタビューを通じて「(HafHの)会員に既存の旅行市場にいない方々が入っている、つまり会員になったことで新しい今までと違った旅行市場が生まれている。これは十分に一緒に取り組むだけの価値があると思った」ことから提携に至ったと説明した。
同氏は具体例として、「出不精の自分を変えたい」という自己変革を目的にHafHを利用している会員を紹介。旅行の行き先を決め、旅行会社やOTAで旅行代金を確認し、宿泊施設にお金を支払う価値があるかなどを調べるうちに旅行に行く気がなくなっていくが、サブスクリプションサービスの利用でそうした阻害要因がなくなることを説明し、新規需要の創出に期待を示した。今後はHafHに適したサービスや客室プランを作るなど提携を深めていく方針だ。
加えて「シニアマーケット」でもサブスクリプションサービスを展開。70歳以上を対象に、界18施設から1年間で12泊できる「温泉めぐり 界の定期券」を100組限定で販売する。1名プランは30万円、2名・3名プランは60万円で、3名以上の宿泊を推奨する。
星野氏は、2025年に団塊の世代が後期高齢者になること、70歳以上の旅行参加率が低下することを課題としてあげ、「22兆円の国内市場の大きな市場が旅行参加率を落とすのは、我々にとって危機感を持たざるを得ない」とコメント。70代への調査を通し、「70代は好奇心旺盛で健康意識も高くいろいろ旅行したいが、旅行前の計画や予約を負担に感じている」人が多いという結果が出たことから、今回のサブスクリプションサービスの展開を決めたという。来年以降はサービスを改善し、販売数も増やしていく方針だ。
一方で「ミレニアル・Z世代」について、星野氏は「日本の若い人たちに国内旅行をしてもらうような仕掛けをするのは非常に重要」と語り、これまで取り組んできた「界旅20」「卒旅」が好調に推移したことを紹介。今後も取り組みを継続する。「愛犬家」については「星のや軽井沢」など過去5年間・9施設で犬との宿泊プランの実証実験をしてきたことを語り、稼働率が非常に高かったことから、4月1日から46施設で犬と宿泊できるプランを開始したことを紹介した。
「北海道民(セイコーマートクラブ会員)」については北海道でのマイクロツーリズム促進をめざし、北海道を中心に展開するコンビニエンスストア・セイコーマートとコラボ。200万人以上いるというセイコーマートクラブのアクティブ会員に対し、星野リゾートが北海道で運営する宿泊施設を利用する際特典を提供する。優待宿泊プランや、セイコーマートで使える電子マネー「ペコママネー」2%相当を利用金額に応じて贈呈する。2月1日から共同で「旅々貯まる北海道プロジェクト」を展開中だ。
星野氏はマイクロツーリズムについて、コロナ前からオフシーズン対策として活用していたことを説明。「コロナ禍はある意味巨大なオフシーズンだった」と語り、コロナ禍の2年でマイクロツーリズムのための仕組みづくり、魅力づくりやオンライン予約システムの整備などに取り組んできたことを語り、今後もオフシーズン対策として活用する方針を示した。その上で「オフシーズンに地域全体でマイクロツーリズムに取り組むことは日本の観光地の標準化につながるし、非正規雇用を正規雇用に変えていくことなど、プラスにつながる」とメリットを強調した。
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