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宿泊客の7割がホテル会員、「相互ヘルプ」で磨くサービス―ソラノホテル総支配人 池内志帆氏

愛犬家にも嬉しい都市型リゾート
開業から一貫して脱プラスチックに取り組む

-総支配人になられた経緯をお聞かせください。

池内 立飛ホスピタリティマネジメントのCOOが、前職のホテル時代の直属の上司だった方で、声を掛けていただいたのがきっかけです。最初はコンサル兼オペレーションサポートを業務委託で受けていました。私も前職を辞めて自分の会社を持っていた頃だったので、ホテル開業1ヶ月後の2020年7月から2ヶ月の約束で仕事を始めましたが、その後も契約期間延長にてお仕事をいただいていました。その間に前任の総支配人が定年でお辞めになることになり、後任を任されました。迷いましたが、素晴らしいホテルになる可能性を感じていたのでお引き受けしました。

-前職をお辞めになった段階では、ホテリエには戻らないつもりだったのですか。

池内 いえ、ホテルの仕事は学生時代から憧れていた職業ですし大好きな仕事です。ただ前職でLGBTQ関連のホテルビジネスやツーリズムに関わるなかで、もっと啓発活動をしていく必要性と使命感を感じ、そちらに力を注ごうと考えていました。立飛グループでは副業も可能なので、現在もホテルなどを対象にLGBTQのセミナーなどを行っています。

-ソラノホテルのLGBTQマーケットへの取り組みは?

池内 ことさらLGBTQ旅行者への対応を謳うことはありませんが、LGBTQの方々を含めて特別な配慮が必要なお客様がいることはスタッフ全員に浸透するよう努めています。まずはきちんと理解すること、どのようなお客様も普段通りに温かくお出迎えすること。ダブルルームを予約した同性カップルの方がチェックイン時から気兼ねなく快適に過ごせるホテルでなければなりません。

 LGBTQのお客様対応を全面には出しませんが、サポートしていることをさりげなく発信しています。たとえば昨年6月には、世界規模の多様なセクシュアリティ啓蒙月間である「LGBTQ+プライド月間(Pride Month)」に合わせて、6色のレインボーカラーをはじめ、様々なセクシュアリティを表すテーマカラーをモチーフにしたオリジナルかき氷をルーフトップバーで提供しました。プライド月間を知らないお客様が関心を持ってくれた際には説明できるようスタッフ全員に周知しましたし、メニューにも工夫を凝らしました。

-最後に読者へメッセージをお願いいたします。

池内 新型コロナウィルスの感染拡大が始まって以降、暗いトンネルが続いている印象がありますが、人間にはどんな時も旅行欲があります。とはいえ実際に来てもらわなくては始まりません。旅行に行きたくても行けないモヤモヤのなかで何を提供できるのか。来てくれたらどう満足してもらいリピートしてもらうようにするか。スタッフ1人1人、ホテル全体、会社全体で考えるのが初めの一歩。皆で考える会社は生き残るはずです。

 観光産業の仕事は目の前のお客様が何を求め、何を必要としているかを察知するのが重要です。お子様連れならオムツ用ごみ箱やベッドガードも用意できると伝える。お客様を見て気付くことができるスタッフを増やすことが大切です。私は時間が許す限りロビーでお客様に接して言葉を交わします。それを見たスタッフが徐々に積極的にお客様と言葉を交わせるようになっていく。そうすることで私はお客様と接するだけでなく、スタッフの対応を見ることもできます。人を育てるのは難しいですが、それをしない限り魅力的なホテルは作れないと覚悟しています。

-ありがとうございました。