宿泊客の7割がホテル会員、「相互ヘルプ」で磨くサービス―ソラノホテル総支配人 池内志帆氏

愛犬家にも嬉しい都市型リゾート
開業から一貫して脱プラスチックに取り組む

-オペレーションの面ではどのような取り組みを行っていますか。

池内 「相互ヘルプ」に取り組んでいます。たとえばフロント担当者が朝の3時間はレストランを手伝ったり、別の時間にスパを手伝ったり。他部署の担当者がスパサービスそのものをご提供するのは難しいですが、バックヤードで仕事を手伝っています。ホテルの現場は全員が色々な事情を知らないと仕事が成立せず、クレーム処理もうまくいかない。クレームを担当外だからと他人事に感じているようでは解決できる問題も解決できません。お客様が何に不満があるのか理解するには、それぞれがホテル内の仕事を幅広く知っておく必要があります。

-ソラノホテルとして宿泊を期待したいターゲット層や稼働率の目標について教えてください。

池内 家族連れが重要なターゲットですが、年配のご夫婦などにも宿泊していただきたいです。年末年始は3世代のお客様が多いのですが、仕事が一段落して余裕がある方々にもっとアピールしていきたいと思います。

SNSで話題になったインフィニティプール

 学生さんなど若い方の利用が多いのは意外でした。インフィニティプールが話題になり、写真を撮りに来る方が多く、この春休みも大学生グループの利用が多かったです。客室料金は安くないのですが、料金は1室当たりの設定でエキストラベッドのチャージも取らないので、グループなら割安だからだと思います。

 稼働率についてはコロナ禍もありまだ十分なレベルに達していませんが、まずは6割を目指しています。

-旅行会社にもブロックを提供しているのですか。

池内 81室しかなく、自社サイトの販売分が不足するためブロックは出しません。自社のデジタルマーケティングチームがあり、ホテルのロイヤリティプログラムの会員に向けた情報発信やリピーター獲得に力を入れています。会員への還元率は15%でプールやインドアスパ、ジムの無料特典等もあるため、宿泊客の7割以上が会員です。会員数は2年間で1万8000人を超えました。

 OTAについてはエクスペディアのみ取り引きしてきましたが、今後は市場動向を見つつOTA戦略の再考も必要だと思います。

-既存の旅行会社への期待や要望はありますか。

池内 コロナ前には放っておいても宿泊客が集まる時代があり、大手旅行会社ほどFITの煩雑な手配を敬遠する傾向がありました。個人で簡単にネット予約できる時代ですが、それができない、あるいは面倒と感じお金を払ってでも専門家に頼りたいニーズはあります。そのニーズに応え利用客から適正な対価を得る。そうした客層にリーチしパーソナライズしたサービスを提供できるか否かが、旅行会社にとって分かれ目になるでしょう。

 大型バスでグループが来て大金が動く時代ではなくなり、個人に寄り添ったサービスが求められています。旅行会社は「売ってあげるのだから金を払え」ではなく、利益を得る方法をこれまでと変えて行く必要があるのではないでしょうか。

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