宿泊客の7割がホテル会員、「相互ヘルプ」で磨くサービス―ソラノホテル総支配人 池内志帆氏

愛犬家にも嬉しい都市型リゾート
開業から一貫して脱プラスチックに取り組む

 東京・立川に「ソラノホテル SORANO HOTEL」が開業したのは一昨年の6月。それまでの東京にはなかったリゾートタイプのホテルとして一躍注目の的となった。コンセプトからサービスのこだわり、販売手法に至るまで従来の常識にとらわれない発想は、アフターコロナ時代のホテルのヒントにもなりそうだ。開業から約2年間の挑戦を、池内志帆総支配人の言葉で振り返りつつ、今後の方向性についても語っていただいた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

池内氏

-ホテルのバックグラウンドから説明して下さい。

池内志帆氏(以下敬称略) ホテルの所有は立飛ホールディングスで、ホテル運営はグループ会社の立飛ホスピタリティマネジメントが行っています。立飛グループの前身は航空機製造の立川飛行機ですが、現在は不動産賃貸業を中核としています。立川の魅力と都市格の向上を図るため、施設の開発にも力を入れてきました。それが一昨年4月に街びらきした空と大地と人がつながる”ウェルビーイングタウン”「GREEN SPRINGS」です。2500席規模の多機能ホール「立川ステージガーデン」などと共にプロジェクトの中核施設の1つに位置付けられているのがソラノホテルです。

 立飛グループは、2024年に100周年を迎えますが、長きにわたって事業を続けてこられたのも地域のおかげであり、魅力的な街づくりを行い、多摩の発展、立川の賑わいを創造することで地域に貢献、恩返しをしたいと考えています。

 実際に「GREEN SPRINGS」は地元の人々の絶好の散歩コースになっていますし、ソラノホテルも立川住民の憩いの場となりたい考えです。コロナ禍の事情もありますが、地元の方々がホテルでランチを楽しんだり、徒歩5分の距離に住むお客様が宿泊してくれたりもします。

 ちなみに将棋の第70期王将戦、第71期ALSOK杯王将戦は立飛グループがスポンサーで、ソラノホテルがどちらも第4局の対局会場となりました。

-ホテルの特徴を教えてください。
ロビー

池内 コンセプトはウェルビーイング。心と体をリフレッシュし心身とも寛げる空間を提供しています。最大の財産は隣接する昭和記念公園の広大な緑地。ロビーからの眺めは、公園の緑の借景と館内の植栽が相まって、さながら森の中です。

 3階から9階までが客室で、スタンダードルームでも広さ52平方メートル以上。全室が昭和記念公園のパークビューでバルコニー付きです。ホテル名の通り空を近くに感じ開放感ある客室は、いるだけでリフレッシュできます。3階の客室は見下ろす景色の代わりに20平方メートルのテラスガーデンを備え、犬連れ宿泊が可能なドッグフレンドリールームを3室配置しています。

-愛犬家の皆さんは犬連れで宿泊できるラグジュアリーなホテルがないとよくおっしゃいます。

池内 愛犬は家族ですからね。ドッグフレンドリールームは部屋タイプ別に見ると一番の稼働率です。

 客室の特徴で付け加えたいのが、開業当初から使い捨てのアメニティを一切置いていないこと。今年4月から脱プラスチック新法の施行で客室アメニティを置かないホテルが増えますが、ソラノホテルは一貫して脱プラスチックで、お客様には「歯ブラシをご持参ください」と案内してきました。持参しない方には竹柄の歯ブラシを有料で用意し、アメニティが必要な方にはフロントにて無料でお渡ししています。クレームするお客様もいますが、環境に配慮しながら快適に滞在できるホテルを目指しています。

 レストランにもこだわりがあります。お米はオリジナルの「SORANO米」を用意。スタッフが那須の提携農家で田植えも手伝い、味噌も手作り。適地適作で土地に合った作物を美味しく育てて食材にする発想です。食材を提供してくれる農家や畜産家の方々を招いて食事会も開催しています。

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