【発行人コラム】この2年、旅行会社の数は減ったのか!?

今年の決算で黒字化する中小旅行会社の存在

 2019年の旅行会社総数は1万1560社、2021年ではそれが1万1888社となっており、328社(約3%)増えています。これは殆どの方にとって信じられない数字かと思います。

 登録種別に見ていくと、減っているのは以下の3業種で、計484社減っています。

1種 21社減(3.0%減)
3種 352社減(6.1%減)
代理業 111社減(16.4%減)

 一方、それ以外の下記3業種では812社増えています。

2種 14社増
地域限定 186社増(1.7倍)
手配業 612社増(1.6倍)

 乱暴にまとめると、海外主体の中小規模の会社が多数退場し、地域限定旅行業のような国内の着地型旅行を主体とする会社及びランドオペレーターは新たに多数誕生したことになります。

 この中には実際には休業状態の会社も含まれているでしょうし、ランドオペレーターに関しては業法改正を機に登録をされた既存会社も相当数あり、地域限定に関してはDMOの登録や兼業の会社も少なくないと思われます。

 しかし、政官やマスメディアがこのコロナ禍2年での旅行会社総数の推移だけを見ると「新陳代謝を伴いながら会社数は増えている」と判断されそうで、定性的な情報も加味した実態を伝える必要性を痛感します。

 一方、今年の決算で黒字を確保する旅行会社が一定数有りそうな事は純粋に嬉しい驚きです。

 それも様々な会社にお話を伺っていると、大手や上場している会社だけでは無く、数は少ないながら独立系の中小規模の会社にも黒字転換される会社が有ります。

 それらの会社に共通するのは、経費削減や借入、各種補助金等、守りの策をしっかりと講じながら、これまでの事業、ケースによっては旅行にも拘らず新たな収入源の確保にそれこそ社運を賭けて取り組まれていることです。

 これ以上無いほど厳しい環境でも黒字を出されている会社の具体的な取り組み内容、工夫や苦労を近日中に記事の中で皆さんにお届けします。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、32周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​