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【発行人コラム】やるか、やらないかの二択、発しない声は届かない

旅行・観光産業に圧倒的に不足しているもの=ロビー活動

 2003年に当時の小泉政権のもと「観光立国懇談会」が開かれ、2007年には「観光立国推進基本法」施行、翌年2008年には観光庁設立、そして2016年には「明日の日本を支える観光ビジョン」が策定され、さまざまな施策が展開されました。

 その成果もあり、2018年には訪日外国人が3100万人を超え、オーバーツーリズム等の問題も顕在化してきたものの、多くの政治家やメディアは「観光」こそ日本の切り札、次世代の基幹産業と持て囃し、煩いほどに発言・発信していました。

 しかし、コロナになった途端に梯子は外され、国民に移動の自粛を求め、事実上国境は閉鎖、観光産業は事実上休業状態を強いられましたが、観光産業、特に大勢を占める中小企業及びそこで働く人達の存在は見て見ぬふりなのか、忘れ去られました。

 Go Toは有りましたが、その恩恵は事務局を担う大手や大資本のOTA、一部の高級宿に偏り、ワクチン接種会場や待機ホテル等に関わる税金絡みの請負仕事も中小規模の会社には事実上受注のチャンスは無く、全業種に適用される雇調金等が唯一の支援と言う状況です。

 なぜ、こうなったのか。

 政治や業界団体が悪い、それもあるでしょうが、いまさらそれを言っても埒が明きませんし、何も変わらないでしょう。

 JATAやANTAがそれぞれ、或いは理想としては統合組織を形成し、パワーのある業界団体として、観光産業全体の声をより大きな声で発信、ロビイングするのがベストなのだと思います。

 しかし、現状では個別団体がロビー活動を活発化させることでさえ難しいと思われ、ましてや横串をさして観光産業全体としてのロビー団体を形成するには途方も無い時間がかかるでしょう。

 楽天の三木谷さんのように卓越した能力に加え、政官財への太いパイプを有するスーパーマンがいれば、その人を中心として「新経済連盟」のような団体を立ち上げることも出来るのでしょうが、私の知る限り、観光産業にそのような方はいません。

 では、どうするのか。

 業界団体を核にしたり、法人単位で参加する大きな団体を新たに作ることが難しい以上、先ずは出来ることとして、観光産業に関わる個人(会社、加入団体、立場等と関係なく)の自発的集合体を創り、ロビイングを展開するのはどうでしょう。

 幸いにも我が国では「請願」は憲法で保障された国民の基本的権利ですので、やってやれないことは有りません。

 観光関連の企業も人もこれ以上無いくらいに傷んでいる中、そんな事に割ける時間も余裕も無いのが現実なのでしょう。また、当然ながら、自社や産業の利益だけを要求し、公益・国益を顧みないような活動は誰にも受け入れられないので、しっかりとした理念も必要です。

 要するに簡単では無いのは百も承知ですが「何処かに居るはずの全能者がやってくれる」なんて言うのは夢物語、映画の中にしか無いことを知った以上、各々が自らやるか、やらずに現状を甘んじて受け入れるかの二択かと思います。

 読者の皆さんのお考えをお聞かせください。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​