親身な対応で「新しい観光スタイル」の構築を―新潟観光コンベンション協会専務理事・事務局長 山口誠二氏

  • 2022年2月21日

MICEや旅行商品造成で支援拡充
海外セールスはオンラインを最大限活用

-その中で取り組まれたことを教えてください。

山口 今できることを考えました。まずは、感染下でも安心して新潟を訪れていただける環境を整備するといった観点から「AIサーマルカメラ」や「非接触型体温計」「デジタルサイネージ」など、感染症対策用の備品を揃え、必要な方々への貸し出しを行いましたが、これは催事関係者などからも大変喜ばれました。

 また、MICE誘致では、あらたな開催支援として、より小規模のコンベンションでも補助対象となるように、人数要件の緩和や補助単価・限度額の引き上げのほか、感染症予防対策にかかる経費への助成金制度も設けました。それでも、学会などではオンラインに移行するケースも多く、例年であれば200件近く実施されるコンベンションも、昨年度は18件と10分の1程度に落ち込みました。

 一方、観光については新たな旅の形がいくつか見えてきたと感じています。特に、「マイクロツーリズム」については、多くの方々から「近場で楽しみたい」「少人数で行動したい」といったニーズや傾向が出てきたのではないかと思っています。

 こういったニーズを踏まえ、宴席の自粛によって活動機会が減少した「古町芸妓」では、感染症対策を徹底しつつ、「市内老舗割烹での和食ランチ」と「芸妓の舞披露」をセットにした「新潟花街茶屋」を企画しました。普段はなかなか敷居が高いと感じられる「古町芸妓」や「老舗割烹」を手軽に楽しめるということで、市内や県内を中心としたお客様にご利用いただき、現在も継続しています。地元の方々に新潟の良さを改めて知っていただくいい機会になったのではないでしょうか。

-「新潟市文化・スポーツコミッション」を設けていますが、その背景や新潟市ならではの特徴やメリットについてお聞かせください。

山口 新潟市は、国際空港や港湾、新幹線、高速道路網などが整備された交通拠点であるとともに、国際大会や全国規模の大会開催実績が豊富な競技場、様々なニーズに対応できる総合スポーツ施設があります。また市内には宿泊施設も多数あることから、文化やスポーツに関しても誘致を進めようとコミッションを立ち上げました。

 地元や中央の団体・関係者の方々へのセールス活動を行う中で、各種催しに適した会場の選定や調整、宿泊施設や土産品など、主催者の方々のご要望に応え、誘致に成功した事例も多数あります。

 特にコロナ禍では、一般のコンベンションはほとんど中止になるものの、スポーツに関しては、一昨年には「日本学生陸上」や「日本陸上競技選手権大会」、また昨年夏には「高円宮賜杯全国学童軟式野球大会」など全国規模の大会が新潟で開催できたことは、私たちにとっても大きな自信になりました。

 ちなみに、本市で開催するメリットは、恵まれた環境と補助金制度もありますが、何といっても親身な対応が一番と思っています。

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