フィンエアー、長距離機材の客室を全面リニューアル、プレミアムエコノミーを新設
A350とA330で完了は2023年の予定
マンネルCEO、アジア路線を引き続き重視
フィンエアー(AY)は、ヘルシンキで行われたオンラインプレス発表会で、長距離用機材で実施される客室の全面リニューアルの概要を明らかにした。AYは、2億ユーロを投じて、A350型19機およびA330型8機の客室を刷新。新たにプレミアムエコノミークラスを設けるほか、ビジネスクラスとエコノミークラスもアップグレードし、機内サービスも一新する。路線への投入は2022年春から。販売は今年3月1日からの予定だ。
トピ・マンネルCEOは発表会で、今回の客室刷新について「パンデミックによって、航空業界は大きな影響を受けている。しかし、斬新かつプレミアムな顧客体験を提供することで、欧州/アジア間など長距離路線で選ばれる航空会社になる」と説明。改めて、欧州とアジアを最短で結ぶ航空会社として、アジア路線重視の姿勢を示した。
また、新設されるプレミアムエコノミークラスについて、「パンデミックによって、ホテルを従来よりもアップグレードするなどプレミアムな旅行を好む旅行者が増えている。プレミアムエコノミーはその需要に応えるもの」と自信を示したうえで、特にアジア路線での販売に期待をかけた。
加えて、マンネルCEOは「世界の旅行需要が回復基調にある現在、客室の全面リニューアルは、いいタイミング」と言及。依然として海外旅行市場の先行きは不透明だが、4年をかけたプロジェクトの意義を強調した。長距離機材すべてへの導入は、AYが就航100周年を迎える2023年に完了する予定だ。
各キャビンの特徴
新設されるプレミアムエコノミークラスは最大26席。座席配列は2-4-2。座席ピッチは38インチで、エコノミークラスよりも1座席あたり約50%広い空間を確保している。座席は、HAECOが新たに開発した「Vector」を採用。レッグレスト、6通りに調整可能なヘッドセットなどを備え快適性を向上させたほか、13インチのスクリーン、ラップトップPCが収まる収納、電源、USB-Aポートも装備している。さらに、機内サービスでは、2種類の機内食を用意。「マリメッコ」がデザインしたネックピローとブランケットも提供する。
ビジネスクラスは、ヘルシンキ空港にあるフィンエアー・ノンシェンゲンラウンジに合わせ、北欧調のデザインを取り入れ、暖かく落ち着いた雰囲気を演出。座席数は最大43席で配列は1-2-1。シェル型の座席によってプライベート空間を確保し、中央の2席は上げ下げ可能なシールドで仕切り、隣席の同行者との会話もスムーズに行えるようにした。また、収納スペースも拡充。電源、USB-AおよびUSB-Cポートのほか、ワイヤレレス充電も可能にした。
スクリーンは18インチ。機内エンターテイメントのコンテンツもさらに充実させた。このほか、ミールサービスではフィランドが世界に誇る「イッタラ」が食器をデザイン。枕やデュべ(薄い掛け布団)などは、プレミアムエコノミーと同様に「マリメッコ」のコレクションを採用した。
エコノミークラスの座席もアップグレード。最大265席で3-3-3の配列。座席ピッチは31インチに拡張し、新しい12インチスクリーンも装備した。
AYは今夏、長距離路線では羽田線を含む約20路線を運航する計画。マンネルCEOは、アジア諸国の国境再開に期待を示しつつ、「長距離路線はAYにとって中核となるビジネス戦略。我々の新しいプレミアムな顧客体験を楽しんでほしい」とメッセージを送った。