【シンガポール現地レポート】エンデミックを突き進む小国シンガポールの今

  • 2022年1月25日

ワクチンと自己検査キット

 2021年後半にかけての感染急拡大に伴い、一時は緊張感が漂った時期はあったものの、最悪の事態を免れ少しずつエンデミックのフェーズに移行できたのは、12歳以下の子供を除くワクチンの接種率を90%弱まで上げることができたからでしょう。注目すべき点は、シンガポールがワクチン接種を促進する為に、様々な仕掛けを行ったところにあります。下記が一例になります。

1. 総理大臣がテレビやSNSを通じてワクチンの重要さと接種促進を直々に呼び掛ける
2. 地元メディアがワクチン接種を促進するCMを作成し放送
3. ワクチン接種証明が無いと、飲食店入店禁止(現在も継続)
4. ワクチン接種証明が無いと、ショッピングセンターへの入場禁止(現在も継続)
5. ワクチン接種証明が無いと、国民が愛するホーカーセンターやコーヒーショップ内での飲食禁止 (現在も継続。この規制はワクチン接種を嫌がる高齢者を狙ったと言われています)
6. ワクチン未接種者がコロナに感染した場合、医療費自己負担(2021年12月8日より)
7. ワクチン未接種者は、オフィスへの出勤禁止(2022年1月1日より)
8. 雇用者は、事前通知の上ワクチン未接種社員の解雇が可能(2022年1月15日より)
*3~8は健康上の理由でのワクチン未接種者は対象外

 これらの施策には賛否両論ありますが、非常に強固な姿勢でワクチン接種率を高めた結果、爆発的に拡大した感染者の98%弱は無症状か治療を必要としない軽症で済み、ワクチン接種者の集中治療室(ICU)占有率は未接種者の15分の1程(12月現在)というデータも出ている為、シンガポールのワクチン施策は一定の成果を上げたと評価できると思います。2022年はブースター接種(3回目)と5歳から12歳のワクチン接種を促進していく姿勢を見せています。

 また、ワクチン接種に加えて、コロナ自己検査キット(ART=Antigen Rapid Test)の活用を促進しています。ART検査キットは政府から支給されるほか薬局などで手軽に購入でき、体調不良時、オフィス勤務時、イベント参加時、知人宅への訪問時などに積極的に検査を行い、自身が陰性であることを確認してから行動するように、政府は推奨しています。私もクリスマスで子供がいる友人宅を訪問する際に、事前に自己検査をし、陰性であることを確認し訪問してきました。多少面倒ではありますが、安全に外出を楽しむには、これも慣れるべきニューノーマルなのかもしれません。

政府から支給された検査キットの中身