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厳しい環境で奮闘する社員に恩返しをーIACEトラベル 代表取締役社長執行役員 西澤重治氏

需要・取扱量が半分でも黒字化できる体制に
コロナ禍もDXを進めるチャンスと捉える

 2000年12月からIACEトラベルの社長を務める西澤重治氏は、就任後1年もしないうちに世界の観光産業を破壊した9.11同時テロ事件の洗礼を受ける。以来、経営者としてリスクヘッジには特に力を入れ、SARSも乗り切ってきた。それでも今回のコロナ禍の影響は衝撃的だったという。一方でこれをチャンスと捉え、会社の変革を大きく前進させる意欲に溢れている。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

西澤氏

-IACEトラベルにとって今年は、店舗閉鎖もあった一方で支店新規開設や新サービスの立ち上げもありました。今年の総括からお願いします。

西澤重治氏(以下敬称略) コロナ禍が2年目を迎え、会社にとっても社員にとっても厳しい1年だったの一言に尽きます。しかし厳しかったこの1年のプラス面を挙げるなら、ウィズコロナに向けて投資を継続し、かねてからの課題だった生産性向上のための改革につなげられたことです。賞与も支給できない状況で頑張ってくれた沢山の社員たちに対し、今回の投資を活かして少しでも早く恩返しをしたいと、改めて強く思った1年でもありました。

-過去の経験に照らしても旅行業界が厳しい状況であることは間違いありません。

西澤 私が社長に就任した当時は売上も収益も順調に伸びていた時期でした。ところが翌年、9.11同時テロ事件が起き大変苦労しました。その後もテロ事件だけでなく、戦争、政変などさまざまなリスクを経験。これらの出来事に対しては経験値からどれくらいの時間で需要が戻るかが分かるようになり、想定が大きく外れることもなくなりました。しかし感染症は厄介です。先々の状況が読めないからです。これまで一番厳しかったのが2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)でした。そうした経験もあり、経営者としてリスクヘッジには人一倍力を入れてきたつもりでした。それまで海外レジャー中心でしたが、国内レジャーや法人、官庁、在日米軍、クルーズなどを新たに手掛け、ビジネスの幅を広げてきました。ところがこうしたリスクヘッジ策がコロナ禍の前に、いずれも通用しなかったことに大きなショックを感じました。

-コロナ前の国内旅行やBTMの取扱比率はどれくらいでしたか。

西澤 国内旅行は1割強といったところです。またBTMとレジャー旅行の比率は、BTMが約7割でした。

-需要回復の見通しについては、国内旅行、海外旅行、訪日旅行それぞれ、どのように想定していますか。

西澤 今回の状況は異常事態であり、回復の正確な予想は不可能と考えています。むしろどういった状態になってもいいように楽観的、中間的、悲観的の3パターンを考え、どのパターンになっても良いように準備することにしました。たとえば楽観論としては、来年末には国内旅行需要が19年比100%まで戻り、海外・訪日も70%程度まで回復していて欲しいと期待しています。

 もっとも経営者としては最悪の事態を考えなくてはいけません。振り返ってみると昨年は「需要が戻ったらこう挽回しよう」との視点で物事を考えていました。しかし今年は需要が元には戻らないことを前提に対処策を考えています。需要が元に戻らなくても大丈夫な体制を作る。一方で需要が戻っても対処できる体制を、DXを駆使して作らなくてはなりません。

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