地域に分け入るJAL社員たち ~秋田県編~
CAから「ナマハゲ伝導士」へ!?
ブランド力の磨き上げ、年間30回の入山も
秋田県仙北郡美郷町
商工観光交流課 出口真吾さん
自然豊かな町であることは知っていましたが、今は日々そのすばらしさを感じています。東京ではビル群に囲まれ四季は体温でしか感じられませんでした。美郷町は四季の移ろいを五感で感じられます。田園や山々の風景、蛙や虫の鳴き声、ゆっくり流れる時間の中でその1つ1つが観光客を楽しませることのできる素材だと思います。特に清水めぐりはおすすめで、それぞれの清水の由来や歴史を学ぶのも楽しいです。また、アウトドアアクティビティとして初級から上級まで様々なコースで楽しめる登山と、その後の温泉やキャンプもぜひおすすめしたい観光素材です。
誘客・観光推進に少しでも寄与したいと感じています。そのためにはハード・ソフト両面での対応が重要です。ハード面では2021年に登山道への大型案内看板や標柱設置を完了しました。ソフト面では清水・登山・森林・星空の各フィールドでネイチャーガイド育成に取り組んでいます。JALの共通理念である「JALフィロソフィ」にも「お客さま視点を貫く」という内容がありますが、登山におけるガイドの立ち位置・ふるまい等はまさにその体現だと感じます。どうしたらお客さまが満足して「また来たい」「家族・友人に勧めたい」と思ってもらえるかという視点を常に忘れず、これまでの知識や経験を活かして貢献していけたらと思います。
モデルルート作成にあたっては、JAL秋田支店・空港スタッフ・県庁出向者を対象としたモニターツアーの実施、国際線ファーストクラス等の機内食を担当するコーポレートシェフによる秋田県産食材を使用した新メニューの開発・提供等、様々な連携を推し進めています。町内の「自然・食・歴史・人」すべてが自慢できる観光素材なので、今後はそれらを多くの方々に知ってもらうための発信にも力を入れていきたいです。
商工観光交流課 観光班長 藤井伸之さん
美郷町は日本一広い横手盆地の中にある仙北平野のほぼ中央に位置します。奥羽山脈を源流とする六郷扇状地は教科書に載るほどきれいな構造で、扇端部では多くの清水が湧いています。町全体では126の清水が確認されていますが、特に六郷地区には60を超える清水があり、六郷湧水群として全国名水百選にも選定されています。また、町内には東北最大級のラベンダー園があり、約2万株のラベンダーが初夏を彩ります。オリジナル品種である「美郷雪華」は、透き通るような白い花が特徴で、他にはない白と紫のコントラストが訪れる人を楽しませてくれます。
「美郷町観光振興計画」では、旅行形態の変化等を鑑み、「通過型観光」から「体験型・滞在型観光」へシフトし、そのツールとしてアウトドアアクティビティをはじめとした各種ニューツーリズムを活用していくこととしています。観光振興にあたっての課題は「効果的な誘客」「観光客の満足度の確保」「経済効果への反映」の3点。出口さんには、この解決に向けて旅行業界のスペシャリストとして業務を担ってもらっています。引き続き民間企業の考え方を町業務に存分に活かしながら、これまで培ったスキルを発揮していただくよう期待しています。
コロナ禍によるアウトドアブームで、当町でも本年度のキャンプ場利用者はここ数年で最多の状況です。地域資源同士のネットワーク化を図り、滞在時間を延長できるような取り組みを継続していきたいと思います。特に山岳エリアには、広大なブナ原生林と発達したV渓谷の美しさが堪能できる「真昼山」、ヴィーナスのように鎮座し町を見守る「女神山」、知られざる七つの滝があると言われる神秘の山「七滝山」などすばらしい山が存在します。こうした魅力を前面に打ち出していきたいと思います。
観光施策は自治体単独で行っているケースが多いかと思いますが、実際は1つの町だけで旅行を完結しようという方は多くありません。当町では様々な企業や自治体と連携協定を締結しています。今後も広域連携の強化や、民間企業の持つノウハウや視点、実行力やスピードなどの活用により、広い視点をもって観光振興に取り組んでいきたいと思っています。