【現地レポート:イギリス】華やかな12月が戻って来たロンドン、旅行業は正念場

  • 2021年12月13日

市内中心部ではCO2削減策が更に加速
キャッシュレス化で意外なものまでカード払いに?

 今年はロックダウンもなく友人や仕事仲間とのパーティー、そして何より遠く離れた家族との再会を皆が心待ちにしていたところ、オミクロン変異種の登場で再び緊張感が戻ってきました。とはいえ、ロンドンも夜空に輝くイルミネーションが賑やかな季節、昨年よりはだいぶ華やかな12月が戻ってきた印象です。

 コロナに関しては、ここ数か月、1日あたりの新規感染者3万人から4万人を記録しつつ、死亡者数は100人前後と、今年1月のピーク時に比べれば10分の1以下に抑えられているものの、この変異種発表と同時に屋内でのマスクやフェイスカバー着用が再度法律で義務付けられました。

 ただし当地では、冬場の再流行に備えすでに9月から医療関係者を皮切りに、ブースターと呼ばれる3度目のワクチン接種も行われています。これは2度目のワクチンから180日経った時点で接種可能で、当初40才以上が対象でしたが、政府は急遽全成人対象に変更し、2022年1月末までの接種完了を目標に定めました。

 現在12歳以上のワクチン接種率は1度目89%、2度目80%、3度目が33%と高水準ですが、さらに迅速に、かつ12歳以下への接種も検討されています。

※内容は2021年12月3日現在

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旅行業は正念場の冬、来春への期待

 11月から国別信号カラー分け(前々回記事参照(リンク))が撤廃され、海外旅行の復活に期待がかかっていたところ、このオミクロン種発生によりアフリカ南部の10か国が赤の渡航禁止地域に逆戻り。9月末でファーローと呼ばれる雇用調整助成金も打ち切りとなり、10月以降人員を再縮小した旅行会社も少なからずあり、インバウンド、アウトバウンド共に、多くの会社はまだ全員フルタイム勤務に戻れない状況が続いています。

 もともとイギリスは教育、ビジネスにおいて専門化が進んでいるため、例えば日本でHISが飲食業に乗り出したような、大手や中堅の旅行会社が180度違う業界に進出するという話は全く聞こえてきません。それだけ異業種参入は企業にとってハードルが高く、現在はオンラインや近場の商品開発、また顧客開拓としては、教育機関、様々なコミュニティーや団体と協力して、歴史や文化、趣味など様々なテーマを追求しています。専門性を高める傾向は世界共通なのではないでしょうか。

 英国政府観光庁の発表によると、今年度末の海外からの渡航者総数は約700万人の見込みで史上最低レベルとのこと。2019年の4000万人に対し僅か18%、主に1月から3月の数字である2020年の1100万人にも及びません。逆に欧州、特にスペイン、トルコ、ギリシャは7月から8月のシーズンに限定すると対19年比でそれぞれ64%、74%、86%の戻りという発表もあり、欧州域内での活発な移動と、海を隔てたイギリスで明暗が分かれました。

 とはいえ、11月以降北米や欧州便を中心にフライトも徐々に増便し、特に現在アメリカからのフライト予約は対19年比の6割程度まで回復し、実際私の周囲でも最近は日本や欧州に一時帰国する人も増え、私自身も来年のイースターには、ほぼ3年ぶりに欧州の家族を訪ねるためフライトを予約しました。

 オミクロン種などの変異種により、また状況が逆戻りしないことを願いつつ、今回はロンドンの最近の変化についていくつかご紹介します。

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