20代社員が振り返る今週のニュース ー 人材流出に筋違いの支援、観光産業は戻れるのか
今週はJTBの黒字転換が発表されました。しかし、黒字化の要因は不動産売却による特別利益で、残念ながら観光産業の復活を示すものではありません。
発表の内容をみると、やはり気になるのは人件費の圧縮でしょうか。対2019年でみると約55%まで下げ、人員も8170名減となっています。人員削減をすると、業界が変わったり他社でもやっていける人は辞め、その自信がない人が残るというのはよくあることですが、観光産業に限ってはそうでないことを願いたいものです。
ただ、ここで新卒採用を始めるのは、個人的にはあまり理解できないところ。今の旅行業界で新人に経験を積ませられるほど業務もないでしょうし、一気に需要が戻ったときには経験不足の新人と、その世話をしながら必死に働く経験者ということにならないのか。このコロナ禍で観光産業を辞めざるを得なかった人たちにむけて中途採用をしたほうが良さそうに思えますが、JTBほど大きな会社だとまた違ったロジックがあるのでしょうか。観光産業の武器はなにより人だと思うので、そこだけはどうにか損なわれないようにしたいところですが
今週は一つ、是非読んでいただきたい記事があります。岩崎産業代表、岩崎氏インタビュー記事です。インタビュー内容はかなり尖っているので、賛否両論あると思いますが、個人的に最も賛同したのはGoToトラベルに関して「需要喚起するからそこで損失を取り戻せという発想自体も筋違いで、必要なのは真水の支援です。」という部分です。飲食業への手厚い保障などに比べて、観光産業への支援はなんと薄いこと。散々インバウンドが~などと観光産業を持ち上げるだけ持ち上げておいて保障もないわけですから、本来なら声をあげて然るべきです。
このまま、雇用調整助成金とGoToトラベルだけで果たして、観光産業はどこまで生き残れるのでしょうか。こうやって声を上げてくださる方がいるうちに、国の方針が少しでも良い方へ行くことを願っていますが……残念ながらそれを組織として提言すべきJATAはあんな状態ですし、先行きは暗いですね。