観光の力で地域とともに北海道を元気に-北海道エアポート代表取締役社長 蒲生猛氏
コアなFITの誘客で長期滞在やリピーターの創出を
道外からの新しい人、情報、資金の活用も模索
蒲生 北海道はこれまで神様が作った自然が観光のメインでした。しかし、それだけではもうもたない。利尻富士も1回見て終わりではなく、そこでできる面白い体験を発信していく必要があると思います。従来の修学旅行などの団体も大事ですが、それとは別に個人客を飽きさせず、また訪れたいと思わせるような仕掛けが必要になるでしょう。
例えば、オオワシを見にくる旅行者は、見られるまで帰りません。シャチウォッチングでも2日から3日で見られるとは限りません。そういったコアな旅行者を誘客して、長期滞在を促すことに力を入れていくことも大事だと思います。
また、ガイドなどの人材活用も北海道だけでなく、全国規模で考えていくことが求められているのではないでしょうか。例えば、冬には流氷下のダイビングガイド、夏には沖縄でインストラクターをする。そういった仕組みができれば面白いと思います。
いずれにせよ、地域が面白い人と一緒に、面白いことを考えて、それをどのように見せていくか。これからは北海道に住んでいる人間の頑張りが試されるのではないでしょうか。
蒲生 北海道でも人口減少が深刻な課題になっているなか、空港が立派になるだけでなく、地域の活性化が求められています。道外から人を呼び込んで、そういう人たちの力、情報、資金を活かしていく。そういう意味で、観光開発部は、北海道の生きていく術を考えていくような役割です。
例えば、廃屋を整備して、テレワーク向けにレンタルし、1年の数ヶ月を北海道で過ごしてもらい、観光も楽しんでもらうような仕掛けを考えたいと思います。観光客による消費だけでなく、人、情報、資金が道内で動くことで、地域が元気になり、新しいものが生まれることが重要だと思います。
蒲生 我々も含め観光産業にとっては、この1年10ヶ月は地獄のような状況でした。ここまで苦しんだら、あとは上がっていくしかない。そういうつもりでいます。観光事業者の皆様にも、そういう思いを持っていただきたい。
ウィズコロナあるいはアフターコロナでは、これまでの観光のあり方が変わっていくでしょう。それにいかに的確に、一歩先んじて、対応していくかを考えていかなければならないでしょう。いろいろなトライをして、検証しながら、新しいものを見つけていく。我々としては、そういう気概のある人たちと一緒にやっていきたいと思っています。