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観光の力で地域とともに北海道を元気に-北海道エアポート代表取締役社長 蒲生猛氏

コアなFITの誘客で長期滞在やリピーターの創出を
道外からの新しい人、情報、資金の活用も模索

-訪日市場の回復も含めて、2022年度の需要はどのように見ていますか。

蒲生 国内線は来年夏には2019年度の90%近く回復してくれればと願っています。国際線の回復は時間がかかると思います。北海道の訪日客はほとんどが観光で、東アジアに特化してきました。ビジネス目的は5%もありません。その市場の特徴から、北海道の場合、2023年度で半分、2024年度でコロナ前レベルまで回復するかどうかと見ています。

-来年早々にもGo Toトラベルの再開が見込まれています。

蒲生 北海道の通常の書き入れ時は夏です。冬は2月の「さっぽろ雪まつり」の期間に需要が高まり、その後下がっていくと言うサイクルです。元々、北海道は下期が弱い。しかも、早々と来年の「さっぽろ雪まつり」の縮小が決まってしまいました。他の冬のイベントも軒並み中止・縮小されます。

 Go Toトラベルの再開には期待していますが、再開しても、寒い北海道にはなかなか足が伸びないのではないかと思っています。いずれにせよ、Go Toトラベルが再開されれば、地域間競争になるでしょう。その危機意識は持っています。黙って待っているだけでなく、さまざまな施策を打っていく必要がある。北海道の観光関係者、行政、経済界が力を合わせていくことが求められると思います。

-空港テナントの状況はいかがでしょうか。

蒲生 北海道エアポートとして、テナントに向けていろいろな支援を実施してきました。新千歳空港のテナントは今夏頃までは頑張っていましたが、開業当初から営業していた老舗蕎麦屋が撤退したとか、残念なことが起こっています。

 それでも、新千歳空港はまだいい方です。他の空港は半分から3分の1が撤退、あるいはテナントとしては残っているものの閉店したままという状況です。

 一方で、これを機に、新しいテナントの誘致を真剣に考えています。来道者向けに北海道らしいものを出していこうと考えてきましたが、実は別の見方もあるのだろうと思います。地域にとって、空港は東京との接点、東京のものを体験する場にもなりうる。空港利用者だけでなく、地域住民が利用できるようなテナントも求められているのではないかと思っています。カフェのように、若者がリモートワークをしたり、地元住民がくつろげるような空間をつくることも必要なのかもしれません。

 駐車場については、本州の空港と比べると広いので、ドライブスルーのような店舗があってもいいかもしれません。また、そこにレンタカー会社の車を置いてもらうことができれば、利用者にとって利便性が高まるでしょう。

-アフターコロナに向けて予定されている取り組みをお聞かせください。

蒲生 行政と民間一体となった観光振興策「HOKKAIDO LOVE!」の訴求を時節柄これまで控えてきましたが、旅の機運が高まっていることから、これから積極的に展開していきたいと思います。地元自治体と協力しながら、タイムリーな情報を提供していくことが大事でしょう。例えば、帯広と旭川との間にある「ガーデン街道」に誘客するためには、開花の状況などきめ細かい情報を出していくことが必要だと思います。

 また、現在MaaSの仕組みを構築中ですが、その進捗を早めていきます。特に将来のインバウンド観光客には有益なものになるでしょう。

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