ガストロノミーツーリズムと日本が誇るONSENの魅力を融合-ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構 本橋春彦氏

温泉を介した文化交流、相互送客にも期待

 世界屈指の温泉大国である日本は、同時に食の魅力が高く評価されるガストロノミー大国だ。ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構は、その2つを融合させてさらに魅力をパワーアップさせると同時に、温泉をONSENとして世界にアピールすることを活動目的としている。同機構の本橋春彦事務局長に、その組織と活動について伺った。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

本橋氏

-ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構とは、どのような組織でどのような活動を行っているのですか。

本橋春彦氏(以下敬称略) 欧米を中心に世界各国で取り組まれているガストロノミーツーリズムという分野があります。フランスのワイナリー巡りが発祥とされ、一言で言えば食文化を体験するツーリズムです。その土地ごとの特徴ある食材や習慣、伝統、歴史の積み重ねの中で育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れてみようというコンセプトです。

 日本にもガストロノミーツーリズムに適した地域が数多く存在しており、食を楽しむ素材が豊富にあります。それだけではなく、日本には世界的にも評価の高い温泉体験というキラーコンテンツもあります。そこで、ガストロノミーツーリズムと温泉ツーリズムの2つを組み合わせ、なおかつ温泉を国際語に育てていく狙いも込めて、日本発のONSEN・ガストロノミーツーリズムという観光分野の確立を目指しています。

 ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構は、こうした活動を担う中心的な組織として2016年に設立され、具体的にはONSEN・ガストロノミーウォーキングのコース認定やイベント開催、同様の目的を持つ海外の自治体・観光局との連携などに取り組んでいます。

 東京都市大学の涌井史郎特別教授が機構の会長を務め、ANA総合研究所が事務局を担っています。今年6月時点の会員数は、会員自治体数は県としての会員が5県、市町村が57です。会員企業は観光関連企業を中心に正会員16社、一般会員が10社。個人会員も4000人にまで増えました。

-会員自治体は温泉観光地を擁する地域ですか。

本橋 多くはそうですが、温泉地がなくても問題ありません。地域に温泉がなくても近隣の温泉地と組み合わせたONSEN・ガストロノミーに取り組む自治体もありますし、ONSEN&ガストロノミー以外にも、ガストロノミー単独で地域を盛り上げたい自治体の参加も歓迎しています。

-本橋事務局長ご自身のご経歴について教えてください。

本橋 早稲田大学時代にはサッカー部に所属しサッカー漬けの生活を送りましたが、卒業後は選手としての本格的なサッカーには一区切りをつけ、教員を目指すことにしていました。卒業を前にサッカー部OBで全日空サッカー部でもある方から全日空への就職を勧められましたが、それでも教員への道を選択すると返事をしました。ところが「お前が断れば後に続く後輩は誰も全日空へ入れなくなる」と言われ、半ば冗談ですが脅迫されて仕方なく、1980年の卒業と同時に全日空へ入社しました。元日本代表の岡田武監督とは大学の同期で、私も草サッカーチームに所属して現在もプレーしています。63歳を超えましたがランニングは欠かさず、70代になっても試合に出られるような体力を維持するのが現在の目標です。

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