人で差別化できる世界を代表するラグジュアリーリゾートにーハレクラニ沖縄総支配人 吉江潤氏

  • 2021年10月15日

ハレクラニのスピリット「オハナ」を継承
美しい恩納村の環境保護にも積極参加

-ハワイのハレクラニから引き継いだものはありますか。

吉江 ハワイのハレクラニの魅力も人です。「誰々がいるからハレクラニに泊まる」というお客様は多い。ハレクラニのスピリットは「オハナ(Ohana)」。つまり、「家族」という考えを大事にしています。ハレクラニの「オハナ」は、お客様だけでなく、従業員やパートナー企業など、どのような人にも自分の家族と同じような接し方をするという意味です。ハレクラニ沖縄でもその精神は継承しています。

-コロナによる影響はいかがでしょうか。

吉江 当然ながら数字的にはかなりマイナスとなりました。売上が激減しているので、多くの部門での経費削減を進めました。状況に応じて一部のレストランで一定期間時短や休業をしましたが、基本的にサービスを削ることはしませんでした。ホテル経営で一番大きい経費は人件費ですが、雇用調整助成金も活用して、細かく管理しました。経営会社が給与カットやリストラも行わず、雇用を守ってくれました。新卒を含めて採用も続けています。経営会社には本当に感謝しています。

-今後回復してくる需要に対して、何か新しい取り組みを考えていますか。

吉江 まずは、お客様が求める安心安全な滞在を優先していきます。そのうえで、サービスレベルの向上も図っています。インバウンドについては海外向けのプロモーションを行い、徐々に増えてきていたところにコロナに襲われました。回復にはもう少し時間がかかると思いますが、東京から飛行機で2時間から3時間で、ゴールデンルートなどとは異なる日本を体験できることをアピールするプロモーションを続けていきたいと考えています。また国内については、ハレクラニ沖縄で過ごす魅力をさらに訴求していきます。どちらの市場でも、ハレクラニ沖縄に宿泊する目的で沖縄を訪れて、その後沖縄のファンになってもらうというのが理想です。

-アフターコロナに向けて、リアル旅行会社との関係に変化は出てくるでしょうか。

吉江 変化というよりも、リアル旅行会社もOTAもそれぞれ強みを持っているので、直接予約も含めて、それぞれのチャネルを通じた送客で、お互いwin-winの関係を続けていきたいと考えています。

-ハレクラニ沖縄は素晴らしい自然環境の中にあります。地域の環境保護の取り組みについてお聞かせください。

吉江 周りの美しい自然をまず守らなければいけない。コロナ禍で休止していたときもありましたが、恩納村で以前から取り組んでいるビーチクリーンに参加しています。また、ホテルでSDGsの委員会を立ち上げて、さまざまな活動を進めています。例えば、ビーチクリーンに加えて、国道58号線の清掃活動やサンゴ育成プログラムを実施しています。宿泊者を対象としたサンゴ育成プログラムは、海洋環境のレクチャーやサンゴの苗づくりを体験し、その苗をダイバーが海中で植え付けるところを海上から見学するプログラムで、水曜日と土曜日に無料で実施しています。館内のブティックで販売しているエコバックの売上は、そのプログラムの開催費用に充てています。

 このほか、食材ロス削減の取り組みとして、緊急事態宣言中は恩納村のお子様に「Free Bento Project」としてお弁当を届けたほか、恩納村のフードバンクに年2、3回食材を提供しています。

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