人で差別化できる世界を代表するラグジュアリーリゾートにーハレクラニ沖縄総支配人 吉江潤氏

  • 2021年10月15日

ハレクラニのスピリット「オハナ」を継承
美しい恩納村の環境保護にも積極参加

 ハワイで日本人にも人気のリゾートホテル「ハレクラニ」の海外初進出として、2019年7月に「ハレクラニ沖縄」がオープンした。ハワイの言葉で「天国にふさわしい館」を意味するハレクラニ。沖縄では、沖縄海岸国定公園内の恩納村の美しいビーチ沿いに位置し、これまでにない新しいリゾートライフを提供している。「世界を代表するラグジュアリーリゾートを創造していきたい」と話す総支配人の吉江潤氏に、「ハレクラニ沖縄」が描く未来図を聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

吉江氏

-まず、ハレクラニ沖縄のご紹介をお願いいたします。

吉江潤氏(以下敬称略) ハレクラニ沖縄は、2年前の7月26日にオープンしました。三井不動産の直営ホテルで、ハレクラニブランドとしてはハワイに次ぐ2つ目となります。沖縄本島でも最後に残された美しい場所と言われている恩納村の海岸線にあります。

 立地の形状を生かした建物に客室は計360室。2棟に分かれ、西側と北側でそれぞれ海の景観が異なる魅力があります。一般客室に加えて、ヴィラが5棟。それぞれ独立した部屋に専用の温水プールと天然温泉露天風呂があり、コロナ禍ではこのヴィラが人気を集めています。

-総支配人ご自身のご経歴をお聞かせください。

吉江 私は今から38年前に、大学卒業後、ホテル業界を目指してプリンスホテルに入社しました。1990年代前半に外資系高級ホテルが日本に進出し、日本のホテル業界で大きな変革がありました。当時はまだ転職という概念がまったくない時代で、プリンスホテルで定年まで働こうと思っていましたが、そのタイミングで一大決心して転職。「パークハイアット東京」と「グランドハイアット東京」のオープニングに関わりました。その後、「マンダリンオリエンタル東京」に移り、2006年から「ザ・リッツ・カールトン東京」の副総支配人、2011年から「ザ・リッツ・カールトン沖縄」の総支配人を務め、2017年に現職に就任しました。さまざまな外資系ホテルで働き、それぞれ異なるブランドの文化に触れてきました。

-ハレクラニ沖縄の開業にあたって、注力した点を教えて下さい。

吉江 これまで関わってきた大手ホテルチェーンの開業では、それぞれが築き上げてきた文化や仕組みを適用していくことが求められましたが、ハレクラニ沖縄の場合にはそうしたものがなく、三井不動産と「どういったホテルをつくっていくか」という話し合いから始まりました。そのなかで私は、過去の経験から「人で差別化できるホテルをつくっていきたい」と話しました。ロケーションは抜群、施設も最高水準、ハワイのハレクラニブランドは日本でも認知度が高く、利用者も多い。そのうえでハレクラニ沖縄にリピートしてもらうのは、このリゾートで接した人次第だと考えていました。

 一方、働く側にも気を配りました。働き手にとってもハレクラニ沖縄が、毎日楽しく、喜びを感じながら、誇りを持てるような職場を作っていきたいと思いました。現在400人強のスタッフがいますが、採用基準のキーワードは「いい人」。思いやりのあるホテル運営ができる人です。しかし、単に「いい人」と言っても、いい人としてお客様に接するためには仕組みも必要です。開業前にその仕組みを構築し、今でも大切にしています。

 それでも開業当初は、お客様の期待と我々が提供するサービスにギャップがあり、ミスや不備もありました。毎日のように直接お詫びもしました。苦情も多く、口コミも9割以上がネガティブなもので、私自身も開業2ヶ月のころは心が折れそうになりました。

 それから半年ほど経ち、スタッフのスキルも自信も徐々に付いて、大事にしてきた仕組みの実践も実を結び始めると、お客様の反応が180度変わり、ポジティブなコメントも多くなりました。内容もスタッフに関するものが多いので、「人で差別化できるホテル」の方向に順調に向かっていると思っています。

次ページ >>> アフターコロナに向けた取り組み