itt TOKYO2024

中小宿泊事業者にもDXを、一体型ホテルシステムを年内にローンチーAZOO代表取締役 横田裕子氏

脱エクセル管理、業務効率化と集客を1つのシステムで実現

-WASIMILの機能についてお聞かせください。

横田 WASIMILは一体型ホテルシステムで、業務効率化と集客を一元管理することができます。ホテル業界で使われているシステムにはPMSやサイトコントローラーなどがありますが、WASIMILには自社予約システム、宿泊管理のほかに外部のサイトコントローラーと料金管理まで行う、3WAY連携の機能があります。さらに、日本にはこれまでなかったホテル特化型の宿泊データを活用したCRMやマーケティング機能も兼ね備えたシステムです。

 10室程度の小規模の宿泊事業者でも予約システムに月額2万円から3万円を支払っていますが、同じ価格帯で一体型であるWASIMILをご利用いただくことができます。固定費を下げることができますし、宿泊管理をエクセルで行なっているような場合には業務効率を上げることも可能です。

 宿泊や売上データをエクセルで管理している中小のホテルは少なくありません。WASIMILではこうしたエクセルのデータを自動で取り込み、スムーズにシステム利用を開始することもできます。リードタイムやADR、RevPARはもちろん、客室別、OTA別、マーケットセグメント別での売上げも自動で算出されるので、レベニューマネージャーは自動で出てきたデータをもとに判断することができます。

 そして最大の優位性はマーケティング機能です。顧客リストは持っているものの上手く活用できていないという宿泊事業者は多くいらっしゃいます。大手ホテルではセグメントを分けてマーケティングしたいというニーズがありますが、それを中小のホテルでもできるよう設計しました。

 例えば20代の女性がメインターゲットであれば、そのセグメントのお客様はどのチャネルから予約しているのか、どれくらいの日数滞在するのかといったことを分析した上でグルーピングしておくことができます。グルーピングしたセグメントに対してパーソナライズしたメールを送ることも可能で、テンプレートデザインも70種類ほど用意しています。

 また、PMSには顧客の細かい嗜好をメモとして優先度を分けながら残しておける機能があったり、直販の売上を増やしていく仕組みとしてクーポン発行機能もあります。顧客データを活用したゲストへのサービスやおもてなしを強化するための機能追加開発を常に行っています。

-現在の申し込み状況はいかがですか。

横田 年内のローンチに向けて、約50社から事前登録の申し込みをいただいています。そのうち5社にはすでにベータ版をご利用いただいており、フィードバックを受けながら最終調整をしています。

-使いやすいシステムのように思いますが、使いこなせる中小事業者は少ないのではないでしょうか。

横田 宿泊管理をするPMSとしては、直感的なデザインの上で使いやすさにこだわった開発を行っています。お客様からも操作性が良いというフィードバックをいただいております。一方で、システムを活用した「ホテルマーケティング」や「顧客データを活用したサービスの向上」は日本の中小ホテル・旅館にとってはまだ新しい概念です。そのため、初期はITリテラシーの高い若い経営者が運営されるホテルからマーケティング機能にご関心を持っていただくことが多いです。今後利用者を増やし、「ホテルマーケティング」や「顧客データを活用したサービスの向上」にテクノロジーをご活用いただくにあたっては、IT関連のサポート体制も整えていく予定ですので、サポートを活用しながら使い込んでいただきたいですね。

次ページ >>> 観光産業に必要なのはデータを活用したサービス向上