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旅行業の知見活かし飲食業との二足のわらじ、FCや海外展開も-フジ・ツーリスト・プラザ代表 藤井博幸氏

コロナ後の旅行会社の勝機はライブ販売にあり?
「アイデアの配布」で業界全体の利益に

-旅行と飲食のそれぞれについて、コロナの影響はいかがですか。

藤井 旅行業に関しては全く仕事がなく営業もできず、ビジネスはゼロです。飲食はこれまでの経験で市場環境が変化しても絶対に生き残れるという自信がありましたが、今回のコロナ禍では自信が揺らぎました。しかし飲食業は7割減とはいえ売上も立っていますし、行政からの協力金による補填もあり、何とか息をつないでいる状況です。旅行業だけだったらかなり厳しかったと思います。

-旅行ビジネスの将来についてはどのように考えていますか。

藤井 コロナ禍が収束すれば人の流れが戻ります。みな旅行に行きたくて仕方ないはずですが、問題は売り方です。カウンターでの対面販売はかなり弱体化するでしょう。ネット販売は力を増すでしょうが、既存OTAが強みを持つ分野です。我々のような旅行会社にとって可能性があるのは、ライブ配信での販売ではないかと考えています。とくに得意なデスティネーションを持ち、そこに精通している旅行会社ならば、ライブでどんな質問が来てもプロとして即答できますから販売につなげられると思います。

 長年旅行業に携わってきて、強い武器がないと生きていけないと痛感しています。当社の強みは沖縄に精通していることもありますが、それ以外にも武器を増やそうと2009年には旅行スケジュール作成システム「ソリティアツアーズ」で特許を取得しました。この着地型システムを作ったきっかけは、LCCの台頭によって旅行会社が移動の部分に関与できなくなりマスツーリズムのビジネスがなくなり、パッケージのビジネスも崩壊すると考えたからでもあります。残るのは、たとえば沖縄の那覇空港に着いてからどうしますかという部分。その着地型の提案をシステム化して提供しようというのが「ソリティアツアーズ」だったわけです。

 さらにシステムは抱え込むのではなく、できるだけオープンにしようと考えています。収益につなげる発想は重要ですが、そこに固執しすぎると抱え込みになってしまうので、その中間でバランスを取っていきたい。システム使用により利便性が高まり旅行業界が良くなる、そんな「アイデアの配布」をしていきたいですね。

-今後は旅行業と飲食業のバランスをどう配分していきますか。

藤井 旅行業は続けていきますが、フジ・ツーリスト・プラザとしてはプランニングを中心に据え、仕入れや手配の作業は他社に依頼する形で業務負荷を軽減する考えです。飲食業の沖縄そばにしても、とりかわ串にしても、製法や味付けなどを全部、私が開発しているので時間や手間がかかり、旅行業だけに没頭できないからです。ちなみに、とりかわ串は塩や醤油のタレのほか、燻製仕上げやチーズフォンデュ風などテイストを変えて50種類以上を開発済みです。

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