ハワイの「今」を駐在員の視点から-米本土からの旅行者で賑わうも、新規感染者数は増加傾向
8月になり、ハワイは一足先に夏休みが終わり、公立校の新学年度がスタートしています。州民のワクチン接種率も60%に到達し、新型コロナウイルス問題後の日常に向けて順調に進むと思われていましたが、日本同様にデルタ株の流行が始まっており、完全対面授業で再開予定だった学校も、希望者へのオンライン授業の選択肢を再度用意するなど混乱も生じています。
観光業は米本土からの旅行者により引き続き堅調に回復していますが、新規感染者数は増加傾向にあり、規制解除に関して見直しが必要かもしれないと報道されています。順調な回復からマイナス要因が出始めたハワイの現況を、実際の観光スポットの様子も交えてレポートします。
ハワイにおける新型コロナウイルス感染状況
2021年7月30日のハワイ州の新規感染者数(7日間移動平均値)は、州合計で約288名。カウンティー(郡)毎の新規感染者数は以下の通りとなっています。
市郡 | 陽性率 | 州全体 | ホノルル | マウイ | ハワイ | カウアイ |
---|---|---|---|---|---|---|
新規感染者数(5月) | 1.1% | 51.9名 | 31.1名 | 6.1名 | 14.6名 | 0.1名 |
新規感染者数(6月) | 1.6% | 43.0名 | 30.0名 | 4.0名 | 5.0名 | 4.0名 |
新規感染者数(7月) | 5.7% | 288.4名 | 190.9名 | 29.6名 | 62.3名 | 5.7名 |
6月末にハワイでも確認された感染力の強いデルタ株が広がり始めており、7月半ばには毎日の新規感染者数が3桁台に突入しました。7月末には1日400名を超える日も続き、対策なしでは医療資源に影響が出ると心配され始めています。
ハワイにおけるワクチン接種状況
ワクチン接種は5月より12歳以上の全州民が対象となっており、7月29日には2回接種完了者が60%となりました。しかしながら、当初目標だった7月初旬での達成からは大きく遅れることになりました。ワクチンに関心の薄い若年層が主な接種対象になるに連れ、接種ペースは減速しています。大規模接種センターも役目を終えて閉鎖になるなど、「70%達成による規制完全撤廃」への道のりは足踏み状態となっています。
ただ、現時点で市民の健康を守る手段はワクチン接種しかないため、州政府は接種者に50ドルの現金支給を検討するなど接種率上昇に向けての効果的なプランを模索しています。また、郵便番号を元にして特に感染者の多い地区を発表し、ワクチン接種を啓発しています。大統領による連邦政府職員のワクチン接種義務化に続き、ハワイ州でも政府職員やヘルスケア従事者へのワクチン接種義務化が行われる可能性も出てきています。
ハワイにおける現在の規制緩和の状況
6月より規制緩和基準が「感染者数&陽性率」ではなく「ワクチン接種率」へと変更になり、ホノルルでは2回接種率60%でティア5へ緩和、70%で全規制を撤廃となっています。ティア5の現在の規制内容は「密を避ける」ための集会人数制限が主となっており、屋内25名・屋外75名まで許可されています。
マスクに関しては他州より厳しく、ワクチンの接種有無に関わらず「室内では着用が必要」としています。また、ソーシャルディスタンスの徹底も継続して行われています。
ワクチン・パスポートの進捗
ワクチン接種や陰性証明提示を義務付けるセーフ・トラベル・プログラムですが、7月からは米国内でワクチン接種をした人はハワイ到着時の自主隔離は免除されています。一方で日本を含む諸外国からの観光客に関してはまだ進捗はなく、渡航に際して提携先の医療機関による陰性証明書の取得が必要です。
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