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日本航空、1Qは「回復基調」、ワクチン接種次第で更なる加速も

  • 2021年8月3日
菊山氏(左)と常務執行役員の植田英嗣氏

 日本航空(JL)の2022年3月期第1四半期(2021年4月1日~2021年6月30日)の連結決算で、売上高は1330億円となり、コロナ前の2019年度と比較(以下、19年比)すると61.9%減ではあるのの、2020年度との比較(以下、20年比)では74.1%増となった。JL代表取締役専務執行役員の菊山英樹氏は、依然として先行きは不透明で厳しい状況としつつ「確実に回復基調」は見られると評価した。

 収益のうち、国際旅客事業は112億円で19年比は91.4%減だったが、「少しずつ動きが出ている」ことから20年比は315.0%増と大きく増加。国内旅客事業は380億円で、19年比70.1%減となったが20年比は100.8%増。好調な貨物郵便事業は20年比が79.3%増で、19年比も109.7%増と倍増した。

 営業費用は2154億円で、19年比は34.9%減だが、20年比は4.7%減に留めた。この結果、EBIT(利払前・税引前利益)は826億円の赤字となったものの、20年比では483億円の改善を実現している。純損益は579億円で、20年比357億円の改善。

 JLは、科目上の固定費のうち、燃油費、施設利用費、整備費など運航に関わっていて変動する要素のある費用と、構造改革に伴う一時的な費用を除いた費用を「実質固定費」と呼んで管理、抑制に努めているところ。具体的には年間で5000億円規模に抑える目標を掲げているが、これに対して第1四半期は営業費用2154億円のうち実質固定費は1174億円に留まり(20年比94億円減)、着実に抑制できているという。また、営業費用に占める実質固定費の比率も、20年度の62%から55%に縮小している。

 このほか、手元流動性についても、コミットメントライン3000億円を未使用のまま維持し、さらに手元資金も2020年度第4四半期と比較して513億円減となったものの3570億円を残しており、合計は6500億円超となって「十分に確保できている」との評価だ。

 キャッシュバーンについては、2020年度第1四半期で1ヶ月あたり450億円から500億円、2020年度第4四半期で150億円から200億円となっていたが、2021年度第1四半期には100億円から150億円に縮小。第2四半期には1ヶ月あたり50億円程度にまで抑えられ、その後解消に向かえると予測している。

 このほか、自己資本比率は2020年度第4四半期末で45.0%であったところから、2021年度第1四半期末は2.6ポイント下がったものの42.4%となり、引き続き世界の航空会社の中でも高い水準を維持している。

 通期の業績予想については、現時点では合理的な算出が困難であることから公表を見送ったものの、菊山氏はなるべく早い段階で発表したい考えを強調した。なお、今期の中間配当は見送っている。

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緊急事態宣言も路線によっては予約微増、回復に向け「おこたりなく準備」

 今後の見通しについて聞かれた菊山氏は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響は依然あるとしつつも、これまでと比較すると予約などへの影響は小さくなっていると説明。具体的には、例えば沖縄路線は微減となった一方で他の路線は微増となっていたり、ワクチン接種の進展もあってか50代から60代の需要は減少が少なかったりするという。

 そしてこれからの回復については、国内線はワクチン接種の進展次第で更なる加速もあり得ると期待。一方、国際線については「悪い方向には向かっていないが、大きな変化はない」状況という。そうした中で、路線の撤退はできる限り回避しながら状況に合わせて「利便性の高い便数、ダイヤを実現」し、回復期に向け「おこたりなく準備を進めていきたい」考えだ。