宿泊旅行実施率は過去最低の31%、費用総額は約5兆円が消失 じゃらん宿泊旅行調査2021

 リクルート・じゃらんリサーチセンター(沢登次彦センター長)は7月8日、「じゃらん宿泊旅行調査2021」の結果を発表した。20年度(20年4月―21年3月)1年間に国内宿泊旅行を行った人の割合を示す宿泊旅行実施率は前年度比22・4ポイント減の31・2%と大幅に減少し、04年度の調査開始以来、最低値を記録。延べ宿泊数も同48・0%減の1億2687万人泊と、新型コロナウイルスが市場に与えた打撃の大きさがあらためて示された。

 実宿泊旅行者数は同41・9%減の2925万人、延べ宿泊旅行者数は同46・5%減の7256万人回に。この1年間、大幅減を示す様々な統計を見続けてきたわけだが、それでもこの市場が失った数字の大きさに現実の厳しさを思い知らされる。

 一方で、旅行実施者の年間平均旅行回数は前年から0・22回減の2・48回、宿泊旅行1回あたりの平均宿泊数は前年から0・05泊減の1・75泊と、ほぼ前年並み。若干数字を落としたものの、コロナ禍で単純に旅行に出かける人が減少しただけということがわかる。

 宿泊旅行実施率を性・年代別にみると、当然すべての層で前年より低下。なかでも35―49歳女性が25・0ポイント減の27・1%と、昨年に続き旅離れが目立つ結果になった。

 宿泊旅行費用総額は、同53・6%減の3兆7659億円。コロナ前の18年度から約5兆円が市場から蒸発したことになる。宿泊費は1兆2376億円で、全体シェアは32・9%。1回の旅行でかかった1人あたりの費用は5万1800円で、前年より8千円減と1回の旅行にかける費用自体も縮小した。

 同行者は1位が29・7%の「夫婦2人」、2位が17・8%の「一人旅」と前年から変わらず。前年から「夫婦旅」「恋人との旅」が増加した。

 都道府県別の延べ宿泊旅行者数は、ご時世を反映してか北海道が526万人で調査開始以来初の1位に。東京都は430万人で2位に転落した。次いで3位静岡県、4位長野県、5位神奈川県、6位京都府、7位大阪府、8位兵庫県、9位沖縄県、10位千葉県。トップ10の顔ぶれは前年と大きく変わらないが、東京都、大阪府の都市圏が下落した。上位10位の全体に占める割合は前年から6・2ポイント減の46・9%になり、コロナ禍で地方への分散が進んだことがうかがえる。

じゃらん宿泊旅行調査2021

 調査は4月に実施。有効回答数は1万5719件。


情報提供:トラベルニュース社