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豪州の「今」を駐在員の視点から-続く厳格な水際対策、入国制限の完全解除は2022年以降?

今まで取られてきた新型コロナウイルスに対するオーストラリアの戦略

 日本同様に四方を海に囲まれているオーストラリアでは徹底的な水際対策が行われ、今も引き続き出入国に関しては、厳しい措置が取られています。

 2020年3月20日21時以降、オーストラリアへの渡航者の全ての入国が禁止となり(オーストラリア市民及び永住者を除く)、帰国するオーストラリア市民及び永住者に対しては、オーストラリア到着日から14日間の強制隔離施設での滞在が今もなお義務付けられております(現在ニュージーランド除く)。

 当初この14日間の強制隔離費用は、各州・地域の負担となっておりましたが、その後この強制隔離費用は自己負担となり、現時点で各州・地域毎に負担額は多少異なりますが、例えばシドニーのあるニューサウスウェールズ州の隔離費用は大人1人3,000ドル、追加の大人1人1,000ドル、18歳以下の子供500ドル、3歳以下の子供は無料となっております(引用元: NSW Government HP)。

 また、全てのオーストラリア市民及び永住者は、免除が認められない限り、オーストラリアからの出国が禁止され、やむを得ない事情により出国を希望する場合、事前にオンラインにて国境警備隊へ申請をし、許可を得る必要があります。この申請許可は厳格に定められた免除基準を満たす必要があり、例えば日本の親族の死去などの報に接した場合においても、英文での死亡診断書などの提出が求められ、オーストラリアからの出国は容易ではありません。

 このように出入国を厳しく管理することで事実上の新型コロナウイルス・ゼロ戦略を実施するオーストラリアでは、市中感染発生時も厳格に対応、感染発生地域において感染拡大の兆候が少しでも見られると即日ロックダウンの対応が取られ、他州・地域は市中感染発生地域を感染多発地域(ホットスポット)へ指定、入州を拒否するなど、厳格且つ素早い対応を行うことで市中感染の広がりを抑制しています。

平常時は多くの人で賑わうゴールドコーストのサーファーズパラダイスの中心地、カビル・モール

 これだけの厳格な対策を行ってきているオーストラリアですが、マスクの着用に関してだけは、新型コロナウイルス発生当初否定的な見解でした。オーストラリア連邦政府保健局からは「マスクの着用はコロナウイルス感染症対策にはならない」という指針が発出されており、2020年7月の時点でマスク着用者はどの州・都市においても皆無と言っても過言では無い状況でした。

(抜粋)In Australia the routine use of face masks in the community is currently not recommended, while the rate of community transmission of COVID-19 is low. A face mask is not a substitute for other precautions to prevent spread of COVID-19(引用元: Australian Government Department of Health)

 その後2020年7月31日に連邦政府保健局より、「マスク着用により感染の広がりを抑制するため、マスク着用を検討するべき」との発出があり、2020年8月に入り、ビクトリア州メルボルンでの感染爆発を機に、メルボルンではマスク着用が義務化され、その後も市中感染が発生した折には、罰金を伴うマスク着用令が各州政府より発出される機会が増え、特に人口密集度の高いシドニー、メルボルン、ブリスベンなどの大都市においては、マスク着用がコロナウイルス市中感染拡大の対策になり得るとの認識が広まって来ております。

 但し、地方都市では未だマスク着用者は散見される程度で、ゴールドコーストでは2021年4月上旬に初めて罰金を伴うマスク着用が2週間義務付けられましたが、マスク着用義務化が解除された翌日には、ほぼマスク着用者は居なくなるというのが実情です。

 今後日本とオーストラリアの国境が開かれ、日本のお客様を迎え入れる段階で、このような日本とオーストラリアの文化や慣習の違いを相互理解いただくことも重要な点かと考えます。

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