豪州の「今」を駐在員の視点から-続く厳格な水際対策、入国制限の完全解除は2022年以降?

ワクチン・パスポートの導入

 日本でも話題に上がっているワクチン・パスポートですが、ここオーストラリアではナショナルフラッグキャリアであるカンタス航空が世界中の航空会社に先駆けて2020年11月に「カンタス航空で国際線を利用する場合はコロナワクチン接種が必要となる」との発表を行ったことからも、「ワクチン・パスポート」の導入に向けて議論が進んでおり、導入の機運は非常に高まって来ています。

 現地メディアによれば、6月4日に開かれた連邦政府と各州政府との連絡会議「ナショナル・キャビネット」において、連邦政府スコット・モリソン首相より「ワクチン・パスポートの導入により、まずはオーストラリア国内での州移動を自由にする」との提案が行われたとのことですが、オーストラリアでのワクチン接種は任意であり、この案には殆どの州政府首相の反対意見が出ているのが実情です。

 カンタス航空では、先行して国境オープン後の運用を想定し、「ワクチン・パスポート」システムの政府チャーター便での乗客トライアルを開始、スイスの企業が開発したデジタルヘルス・アプリ「CommonPass」の試用を開始しております。

入国が可能となる時期の見込み

 現在オーストラリアは、「トランス・タスマン・バブル」という制度のもと、オーストラリア同様に新型コロナウイルスの抑制に成功しているニュージーランドとの国境のみを開放しており、2020年10月16日より14日間の強制隔離無しでニュージーランドからオーストラリアへの入国を許可、また2021年4月19日からはオーストラリアからニュージーランドへの入国が14日間の強制隔離無しで可能となっています。

 日本を含む他国への入国規制緩和に関しては、2021年5月7日に連邦政府テハン貿易・観光・投資大臣より、入国制限の完全解除は2022年以降になる可能性が高いと表明されております。但し、ニュージーランド同様に相互間での隔離無しでの往来を認めるトラベル・バブルの形成には前向きの姿勢を示しており、現地メディアによると、連邦政府スコット・モリソン首相はG7会議出席のため英国へ向かう途中、シンガポールへ立ち寄り、比較的新型コロナウイルス感染を抑制出来ているシンガポールとのトラベル・バブル制度提携に向けて協力して行くことで一致したとの報道がなされており、日本とのトラベル・バブルの形成は日本側のコロナウイルス抑制が大きなカギを握っていると思われます。

世界的リゾート地ゴールドコーストの現在の様子

 年間を通して世界各国からの観光客で賑わうゴールドコーストですが、現在は人出は少なく、例年と比較すると5割にも満たない、2割から3割程度といったところです。国境がオープンし、海外からの旅行者が来ない限り、ゴールドコーストの「平常」は戻って来ないことを再認識させられます。

トラム(路面電車)沿いの好立地も空き店舗が目立っています。

冬に相当する今の時期、ビーチの人出は平常時も少ない季節ではありますが、例年の半分以下の人出です。

いつもはツアーバスやタクシーなどで混み合うマントラ・レジェンズ・ホテルの車寄せも閑散としています。

本稿はトランスオービット ゴールドコースト支店長 松本哲也氏よりご寄稿いただいています。
※2021年6月15日(現地時間)現在の情報です。

株式会社トランスオービット
米国本土・ハワイ・カナダ・オーストラリア・韓国に現地法人を有するランドオペレーター
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