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SDGs先進都市として都市間の連携を牽引、地域一体で観光客の誘致へ-宮城県東松島市長 渥美巖氏

アフターコロナはインバウンド強化、外国人観光客受け入れに向けた「おもてなし」研修も

-コロナ前はやはりインバウンド観光客が多かったのでしょうか。

渥美 東北地方は青森県など一部を除いてインバウンドが非常に弱く、外国からのお客様は一気に北海道まで行ってしまっている状況でした。原発事故の関係で敬遠されているという面もあったかもしれません。ですが、今後は仙台空港も民営化して24時間営業を開始する予定で、インバウンドも強化されていくと思っています。仙台・松島DMOや「松島"湾"ダーランドミュージアム構想」という松島湾を囲む体験型観光名所の計画などもあり、地域一体となって推進していきたいと考えています。

 市としては、民宿の女将さんたちに向けて、日本航空から宮城県庁に出向していた方にインバウンド観光客のおもてなしの研修をしていただいたり、英語を話す代わりに「指差しシート」を使った接客を提案するなど、外国人のお客様をお迎えする準備を少しずつ進めています。

-「SDGs未来都市」に選定されていますが、具体的な取り組みについてお聞かせください。

渥美 東松島市は2018年6月に全国29の自治体と共にSDGs未来都市の認定をいただきました。その年は、被災地の福島県、岩手県、宮城県のなかでは唯一本市が、東北ではほかに秋田県仙北市、山形県飯豊町が選ばれました。選定されて終了では面白くないので、都市間で連携してさまざまな発信をしていこうと呼びかけ、2019年に本市で「東北SDGs未来都市サミット・シンポジウム」を開催しました。第2回は仙北市で開催し、第3回は飯豊町で開催する予定でしたが、コロナの影響で延期しています。ただ講演を行うだけでは理解を得られないことも多いので、SDGsに理解の深いお笑いタレントさんに「超高速10分 SDGs重要ポイントお笑い授業」というライブをやっていただいたり、市の職員が学校でSDGsの話をするなどの活動も行っています。

 また本市は、持続可能な観光を推進するために観光庁が策定した「日本版持続可能な観光ガイドライン」の2021年度モデル地区にも選定されましたので、それにふさわしい準備をしたいと考えています。受け皿となる職員の研修や市民への認知を進めるべく、6月の議会では補正予算を組みました。

 このほか、本市は環境未来都市にも選定されています。第三セクターのHOPE(一般社団法人東松島みらいとし機構)では地域新電力事業やスマート防災エコタウン事業などを行っており、そうした組織と共に環境問題に取り組んでいきたいと考えています。

-観光産業に従事する読者へメッセージをお願いいたします。

渥美 観光は非常に裾野が広く、影響が大きい産業だと考えています。そこに活力があると地域全体が活性化されます。近年は特に外国人旅行者が増えていましたが、それだけ日本が国として魅力的であるということ、そして安心・安全であることに加え、観光産業従事者のサービスが行き届いていて満足度が高いということの表れだと思います。

 今後交流人口や関係人口を重視するなかでは、旅する方々にその地域の良さを理解してリピートしてもらう必要があります。その最前線にいらっしゃるのが観光産業で働く皆さんですので、地域のイメージを作っていく存在として大いに頑張っていただきたいと思っています。

-ありがとうございました。