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「三方よし」を社名に込めて、地域創生を推進へ―ANAあきんど 代表取締役社長 高橋誠一氏

ANAグループの持つソリューションを活かし、交流人口・関係人口の拡大を目指す

-地域創生事業には今後、具体的にどのように取り組んで行くのでしょうか。

高橋 ANAセールスとして、これまでも地域創生を全く手掛けていなかったわけではありません。4月からは、より力を入れる方向へ舵を切ったということです。これまでもふるさと納税に取り組んでいますし、昨年12月には「ANAふるさと発見プログラム」も発売し各地域におけるワーケーション推進も手掛けています。当面はこうした自社商材を中心に営業活動を強化していきます。

 4月からANAあきんどとして地域創生事業に取り組む中で、ANAセールスの視点で活動していた際には見落としたり見逃したりしていた点があることに改めて気づきました。そういう意味で地域創生事業にはチャンスがあると見ています。航空事業を行っているANAグループとして2地点間移動を活かした地域創生に取り組むだけでなく、地域産品の販路拡大や、交流人口・関係人口の拡大による地域振興や地域産業振興にどう貢献していけるか。我々の持つソリューションを役立てられる道筋を探していきます。ビジネスの形がどのようなものになるか、まだ曲折はあると思いますが可能性はとても大きいと感じています。

 実際にANAあきんどの発表以降、外部企業から一緒にやりたいという声かけもあります。地域創生に関しては自社だけの取り組みには限界があり、提携パートナーとの協力関係を築くことでより幅広く中身の深い地域貢献が可能になると考えているので、さまざまなパートナーとの連携を目指していくつもりです。

-これまでANAセールスと契約を結んでいた旅行会社は、今後、ANAグループのどの会社と契約していくことになりますか。

高橋 ANAあきんどは航空会社のANAから航空セールス活動を受託する形になるので、旅行会社の契約相手はANAということになります。そこに我々がセールス活動の面で関わっていくというスタイルは従来のANAセールスとの関係と変化しません。

-これまでANA本体と取引があった旅行会社は、営業的な接点をANAあきんどと保っていくということでしょうか。

高橋 その通りです。

-航空セールス事業に関しては今後、どのような提案や協業を行っていくのかお聞かせください。

高橋 コロナ禍で航空業界も旅行業界、観光業界も多大な影響を受けています。日本でもワクチン接種が始まりましたが、ワクチン接種が先行しているアメリカや英国の状況を見るとプレジャーをはじめとした需要に期待が持てます。ワクチン接種が進めば移動需要は回復するので、旅行業界の皆様と一緒に環境を整え旅行需要の回復を後押ししていくことが重要と感じています。

 またワクチン接種が進展し世の中の環境が変化するのを待って需要回復を後押しするだけでなく、安心安全な旅行が可能な環境づくりに向けて業界一体となって能動的に動いていくことも必要だと思っています。たとえばJATAが取り組んでいるPCR検査付きのツアーのように、安心して出かけて行けるような取り組み、環境づくりを自ら行い、1社だけの取り組みとしてではなく、旅行業界の一員として連携して需要回復に努めたいと考えています。

 さらに旅行需要の回復という観点とは別に考えていることもあります。例えば地域創生事業については旅行各社が先行している状況があるわけですが、これまでの航空セールスと旅行会社という形の、座席販売を通じた協力関係に加えて、お互いが持つソリューション力が異なると認識していますので、力を合わせ、地域創生も含めたより幅広い協力関係を構築していけると期待しています。

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