【京都ホテルミニインタビュー】第3弾「今は攻めるための余白づくりの時期」ホテル カンラ 京都 運営統括責任者 友岡大輔氏
京都ホテルミニインタビュー第3弾は、京都の伝統工芸を取り入れたラグジュアリーな客室を備えるホテル カンラ 京都の運営統括責任者、友岡大輔氏。旅行需要復活の時へ向けた取り組みや今後の行政施策に期待することを聞いた。
第1弾 エースホテル京都 上席総支配人 飯田雄介氏
第2弾 ホテルグレイスリー京都三条 支配人大出健史氏
友岡大輔氏(以下敬称略) 緊急事態宣言の発出により元々いただいていた予約が半分ほどキャンセルとなり、間際予約が一部補填する面もあったものの、大きな好転とはならず終わりました。2020年のGWと比較するとほぼ同程度のボリュームですが、3月の流れを受けて単価は若干高めを維持することができました。
GW中に滞在されたお客様については、若年層のご利用が増えた印象があります。営業している飲食店も減ったので、ルームサービスのご利用も増えました。GW以降の予約推移については芳しいものではなく、緊急事態宣言が延長になるのであればその分予約も先送りになるのではと見ています。
友岡 宿泊プランなどを色々と試しているところです。収入が少ないので大きな投資はしづらい状況ではありますが、今は攻めるための余白づくり、引き出しづくりの時期と捉えて、いくつかの体制や施策を仕込み、どのタイミングでどれを引き出すかという選択肢を拡充させている段階です。
また、実は年間に100件ほどジム開設のお申し出をいただいています。現在は宴会場をクローズしていますが、来るインバウンド復興の際に、宴会場とジムのどちらが求められているか等も踏まえて設備投資を検討しているところです。
加えて、元々スタッフに対して「短期成長できるホテル」というメリットを感じてもらうためにマルチタスク化にも取り組んでいたので、その点は一層推進がなされ、コストセーブのメリットも生んでいると言えます。
友岡 現在、県民割等は自治体レベルで発出できるようになっていますが、今後ワクチン接種が進んだら年齢別で制限を解除できるようなステージになるのではと考えています。そうなったら世代別にGo To トラベルキャンペーンを再開するなど、まずは短期ベースでも収入に繋がるような施策を作ってもらえると有難いですね。
インバウンド需要が戻らない限り平日の予約はなかなか伸びず、日曜から金曜の稼働をどうしていくかが課題なので、休み方改革も然り、国内旅行需要を平準化させるような、大きな目線での施策にも期待したいです。これは販売価格の偏りも解消し、エコロジーや省エネ、また雇用の安定という観点でも意義があるのではないかと考えています。今後10年単位で新たなパンデミックが発生する可能性は否めませんので、その際には経済や人の動きを計画的に止めて計画的に動かすということがよりスムーズに行われてほしいと願っています。
友岡 当ホテルを運営するUDS株式会社では、企画・設計・運営の3つの部門が連携して施設を手がけるのが強みです。設計事業ではオランダの100%再生プラスチック由来&再リサイクル可能パネルの取り扱い・提案を始めていますし、ホテルの運営としても再生エネルギーの採用などを検討しています。
また、京都の作家さんを支える取り組みとして、客室に作品を展示したり室内備品として利用できるようにしています。海外のお客様が客室の作品を気に入り、実際に工房へ足を運んで作家さんから直接商品を購入されるという循環も生まれています。会社として大切にしてる理念に「デザイン性、事業性、社会的意義、この3つを満たす仕組みづくり」というものがあり、それに基づいて施設ごとにフットワーク軽くさまざまな取り組みを行っています。
友岡 「旅行に来てください」と大声で言える状況ではありませんが、営業し続けているということが1つのメッセージになるのではないでしょうか。
コロナ禍中でも、本質的なことは何も変わっていないと考えています。先行きが見えない中で何を実行するかという判断は難しいものの、「考え続ける」ことはコロナ禍があろうがなかろうがしていたことですし、1ホテルとして目の前のお客様に対して何ができるか真摯に向き合い続ける姿勢も変わらない、というのがスタッフに対して伝え続けているメッセージです。