コロナ禍中に宿泊者数・客室稼働率とも前年超え、「那須塩原の奇跡」―塩原温泉 常盤ホテル支配人 冨岡紳郎氏

目指すのはコスパのいい宿
ITを上手に取り入れながら、この規模感でできることをやっていく

-旅行会社経由の予約の比率はいかがでしょうか。

冨岡 旅行会社経由の予約少なく、ほとんどがOTAです。直販比率を増やすことが現在の一番の課題です。その対策としてアプリを作ろうとしています。アプリをリリースした際には、ホテルにお泊まりいただくお客様にインストールしてもらうために特典をつける等、いろいろな施策を行っていこうと考えています。

-1年に2回以上来られるリピーターの方は何割くらいいらっしゃいますか。

冨岡 かなり増えたと思います。毎日20部屋分の予約リストを作っているなかに、データ上ほぼ毎日リピーターという言葉が出てくるようになりました。「泊まりに来るのが楽しみだ」と毎月必ず宿泊されるお客様が10名ほどはいらっしゃいます。難しいと思いますが、理想としては、リピーターのお客様が3割程度に増えるといいですね。小規模だからこそお客様との距離が近いスタッフも多く、そこは強みだと思います。

-今後、地域に対して貢献したいと考えていることはありますでしょうか。

冨岡 この那須塩原をもう少し明るくしたいと考えています。訪れるお客様の数が圧倒的に少ないので、Go Toキャンペーンの地域共通クーポンをお渡しする際には、できればこの地域で使ってほしいと、利用可能なお店の紹介と合わせて説明していました。

 私が塩原を最初に訪れたのは30年前で、その当時もお店の数は多くありませんでしたが、さらに減っています。昔は射的屋等もありましたが、そういう観光施設がどんどんなくなっています。そのため一軒でも多く新しいお店ができてほしいと思います。

-コロナの影響はまだしばらくは続き、アフターコロナに今あるホテル・旅館のすべてが存続することは難しいと思いますが、それはチャンスですか。それとも地域が寂れるからマイナスですか。

冨岡 どちらとも言えませんが、チャンスでもあると思います。私どもは1日に500名のお客様に来てほしいわけではありませんし、なくなってしまうホテルがある一方で新しいホテルもできています。そう考えると需要はあるのだと思います。

-ありがとうございました。