旅行会社と旅行メディアの情報発信の差-RT Collection 柴田真人氏寄稿

  • 2021年4月14日

 ホテルや観光地の特集ページを作っても作ること自体がゴールになってしまい、その後の情報管理ができていないことが多くあります。もしアップデートや管理を半年等のタームで定期的におこなわなければ、古くなった情報を旅行者に与えてしまう可能性が高く、クレームになってしまうことがあります。

 もちろん、旅行会社で情報発信を積極的におこなっているところもあります。例えば、旅行メディアを運営している旅行会社がありますが、このコロナ禍でも更新頻度を落とさずに記事を投稿しています。どのように更新頻度を保っているのかというと営業スタッフに記事を書かせるのではなく、旅行に精通したライターを雇用、または外注しており、投稿記事のスケジュール管理もおこなっています。時にはライターを旅行地に派遣し、リアルな情報収集を行っていることもあります。今まで記事データを作っていた営業スタッフが監修という立場になれば、記事の質も落ちず、営業スタッフ自身の作業の負担も大きく減らすことができます。

 また、旅行メディアの記事内にツアーのリンクを貼ることで、実際にツアーの集客ができている旅行会社もあります。これは運営してる旅行メディアが検索結果に上位表示されることで、リスティング広告の費用を減らすことにつながっています。

 どのような旅行情報を発信していけばよいのかというと、旅行会社だからこそできる内容を発信することです。

 先日、旅行アプリを開発している方とお話をする機会があり、「旅行会社の人は一般の旅行者とは全く違う視点で旅行記事を書いていて感心しました」と言われた出来事がありました。これは日々旅行の問い合わせを受け、旅行者から膨大な質問を頂き、1つ1つ調べて回答をしていく経験や実際に現地へ足を運んで視察している経験が記事の内容に表れていたのではと思っています。

 実際に旅行者から届く質問には、旅行情報サイトを見てもわからない内容の質問が多く、現地を知っている人にしかわからないことが多いです。これはリアルな旅行体験が書かれている旅行記のページビュー(PV)が多いことにも関連しています。

 ゼロクリックサーチからも学べるようにユーザーの行動も日々変化しているため、公式サイト以外にも自社の旅行メディアやSNS、YouTubeなど、複数の導線を持つことは大事です。今、コロナ禍で旅行者の取扱いが減っていますが、情報発信の見直しやサイトに掲載している内容のアップデートをする好機と捉えて取り組んでみましょう。

 このように旅行会社が率先して旅行情報を発信していくことで、本来あるべき立ち位置を奪還できると思っています。

柴田 真人 / Masato SHIBATA
大学生時代にオーストラリアのタスマニア島で過ごし、旅行会社に就職。15年間の旅行会社勤務時代には主に東南アジア方面の仕入れや企画に従事。また、フィリピンでの5年7ヵ月間の海外赴任を通して、アウトソーシング事業の立ち上げからインバウンド事業における現地支店の立ち上げ及び日本マーケット初のチャーター便運航のプロジェクトなどを経験。その後、2018年に合同会社 RT Collectionを設立。