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旅行会社と旅行メディアの情報発信の差-RT Collection 柴田真人氏寄稿

  • 2021年4月14日

 第4回目のコラムとなりました。今回は旅行会社の「情報発信」について書いてみたいと思います。まず皆さん、いきなり余談になりますが、「ゼロクリックサーチ」という言葉はご存知でしょうか?

 2年前程から「ゼロクリックサーチ」という言葉をよく聞くようになりましたが、ゼロクリックサーチとはユーザーが検索エンジンで何かを検索した際に検索結果に表示されたウェブサイトをクリックしないという検索行動の1つです。

 例えば、Googleで「明日 天気」と検索すると検索結果画面で明日の天気予報が表示され、「1ドル いくら」と検索すると現在の為替相場の価格が表示されます。検索結果に表示された各ウェブサイトをクリックすることなく情報を知ることができるため、その時点で検索行動を終えるということになります。(※検索キーワードにより検索行動は変わり、ユーザー行動も変化しているため、悲観的な側面だけではありません)

 先月、アメリカでゼロクリックサーチの記事が発表され、ユーザーの3分の2がゼロクリックサーチをしているというデータが公表されました。旅行ブログを運営している私にとってはとても興味のある内容で、この記事はWEBマーケティングの界隈でも話題になりました。(※Googleは2日後に反論記事を発表しています。)

 発表された記事では次のようなデータが掲載されています。

パソコンでの検索行動の割合
・検索結果のウェブサイトをクリック:50.75%
・リスティング広告をクリック:2.78%
・ゼロクリックサーチ:46.48%
スマホでの検索行動の割合
・検索結果のウェブサイトをクリック:21.99%
・リスティング広告をクリック:0.79%
・ゼロクリックサーチ:77.22%


 このようなWEBマーケティングの情報にもアンテナを張っておくと旅行情報を発信する際にとても役に立つので、是非これを機会に情報のアンテナを張ってみましょう。

 少し話はそれましたが、旅行者の旅行情報の収集はインターネットを利用する割合が7割以上を占めているというデータがあります。そして、インターネットで情報収集をする人の約5割が宿泊予約サイトや旅行情報サイトから情報を得ています。(旅行会社のサイトは約3割です)

 観光地などの情報をインターネットで検索をすると、旅行メディアやOTAのランキング記事などが上位表示されていることが多く、それらの記事は画像を多く使い、観光地や宿泊施設の情報を網羅しています。これらは検索結果に上位表示されるために記事構成を考えていることが多く、記事内に書かれている情報の内容はガイドブックに掲載されているような内容と同じようなものが多いです。

 一方で旅行会社のサイトはというと旅行メディアの情報掲載量に比べると非常に少ないです。(ここではツアー商品は情報に含んでいません)例えば、メタサーチでツアー検索をした際に目に留まったツアー商品の旅行会社が気になり、公式サイトを確認してみると旅行情報がほとんど掲載されていなかったり、サイト自体のメンテナンスがされておらず、旅行へのワクワク感が少しトーンダウンしてしまうことはありませんか?

 旅行者が旅行情報を探す際に旅行会社のサイトを一番に使っていないという事実は、旅行企画に長年携わっていた私にとっては、旅行会社の立ち位置が大きく揺らいでいると感じています。また、旅行会社が旅行情報の発信を率先しておこなわないといけないとも思っています。

 旅行会社のサイト内に旅行情報が増えない理由はいくつかあります。例えば、
① サイト自体がコーポレートサイト寄りに作られている
② 旅行情報だけを利用されると思っている
③ 旅行情報の収集自体ができていない
④ 旅行情報のデータ作成を営業スタッフが兼任している
⑤ 情報のアップデートや管理ができない

 中小旅行会社に関しては、特に④や⑤が多い印象です。