コロナ禍後の世界でナンバーワンの観光文化都市を目指す-大阪観光局理事長 溝畑宏氏
鍵は「Green」と「LGBTQ」
周辺地域との相互連携で国際ゲートウェイ都市に
溝畑 SDGsは必須です。その中でもゼロカーボン社会の実現を重視しています。「Green Hospitality Osaka」、「日本みどりのプロジェクト」もそうした観点から発案したものです。2025年には大阪・関西万博があります。万博は、我が国がSDGsのフロントランナーになり世界の持続的発展に貢献していくという未来ビジョンを示す場です。しかし取り組みは万博で終わるのではなく、2050年のゼロカーボンをゴールとして30年後の目標達成につなげていくことが重要です。
そもそも日本は国土の森林比率70%という世界的に見ても緑の大国であり、その緑はアニメ等で人気の妖怪、妖精、忍者といったキャラクターを育んだ力の源泉ですし、スポーツアクティビティやウェルネス、密を回避して余暇を楽しめる安全・安心な場所ですから、観光とも関係の深い存在です。その意味でもGreen Hospitality Osakaという発想が大事になって来るのです。
溝畑 日本のジェンダー平等は、世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数2020」(2019年)によれば、153ヶ国中121位。遅れています。観光に関してもLGBTQを含むすべての人々を自然体で受け入れる、その観点が欠かせません。大阪は「国際LGBTQ+旅行協会」(IGLTA)に加盟しており、2019年にはLGBTQのための総合情報サイト「Visit Gay Osaka」を開設し、今年2月には「LGBTQツーリズムカンファレンス」も開催。さらに2024年のIGLTAグローバルイベントの誘致も目指しています。そもそも大阪にはゲイバーが300軒以上あり、LGBTQフレンドリーな街なのが強みです。
溝畑 その通りです。LGBTQの方々の観光消費は全体平均の3倍から6倍もあるとの調査もあります。大阪としては富裕層市場の開拓には特に力を入れています。安心で安全、健康的で清潔、自然も美しい日本は富裕層にとって世界一の目的地になり得ますし、日本のインバウンドを量から質に転換していく上でも重要です。
もう一つ、大変重視しているのがエリア一体となった観光振興。地域同士の連携です。そうした中で大阪はゲートウェイの役割を担っていきたい。ミラノもロンドンもバンコクも、国際ゲートウェイ都市として、周辺地域と相互連携して旅行者を増やしています。ですから大阪も地域連携には積極的に取り組んでおり、北海道や鹿児島県などと関係強化を図っており、一昨年は長野県、昨年は高知県と連携協定を結びました。
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