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【クレジットカード不正利用を知る】不正利用者を再来訪させないためにーエアプラス 今井行彦氏

  • 2021年3月15日

不正検知システムと自社システム、現場での目視による三重の防御
3-Dセキュア2.0にも期待

 ウェブサイト上で決済を行うOTAとクレジットカード不正利用者との戦いは果てしない。2008年からオンラインで旅行商品の販売を手掛けてきたエアプラスでは、3-Dセキュアと不正検知システムに加え、自社のシステムや人員も駆使して不正利用防止に努めているという。アクワイアラとしてのUCカード、不正検知システムを提供するAkuruに続き、加盟店の立場からの取り組みをエアプラス常務取締役兼C.I.Oの今井行彦氏に聞いた。インタビューは2月26日に実施した。

-まず、貴社の事業についてお聞かせください

今井行彦氏(以下敬称略) OTAとしての旅行事業が主たる事業で、海外、国内ともに素材系の商品を中心にオンラインで販売しています。また、オンライン予約システム「ena(イーナ)」を他の旅行会社向けに提供する事業をもうひとつの柱として運営しています。

-オンライン販売において、カード決済の希望はどの程度ありますでしょうか

今井 決済方法としてはカード決済、コンビニ払い、銀行振り込みの3種類がメインで、そのうちカード決済は6割から7割を占めています。特に昨今は航空券の発券リミットが短く、現状では即時決済が可能な支払い手段がカードのみのため、利用比率が高くなっています。

 余談ですが、以前はコンビニ決済の比率は1桁台でしたが、現在は2割強まで増えています。24時間振込みができることに加え、銀行がATMの規模を縮小し、コンビニにシフトしていることも影響していると思われます。

-多くのOTAがカード不正利用の被害に遭っていますが、貴社ではいかがでしょうか

今井 オンライン事業を始めた13年ほど前にはそういった事例はほぼありませんでしたが、ここ5年ほどで不正予約が増えてきています。現在は停止していますが、海外のお客様に向けたサービスを展開していた頃は、1日に100件以上の不正予約が発生したこともありました。現在はコロナ禍で予約自体が少ないため以前よりは減っているものの、それでも月に数件は見受けられます。

 これまでに経験した不正予約の数は何千件にもなりますが、さまざまな対策を取っているため、実際に損失が発生した事例はわずかです。もしすべての被害に遭っていたとすると、コロナ前でしたら月間で数千万円になりかねません。

 不正と断定できる記録の99%以上が外国の方の予約です。日本人の名前での不正予約はこの5年間で1、2件程度しか発生していません。

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