【コラム】この環境下で「旅行会社」新設のご相談?
非業界目線ではチャンス有りとの認識
新たに旅行会社を起業したいと言う相談を先月3件受けました。
一件は現在旅行会社で働かれている方の独立の相談でしたが、二件は異業種からの参入です。何を好き好んでこの環境で旅行会社をと思ったのですが、お話を伺い、なるほど視点やキャッシュポイントを変えればチャンスは有るんだと瞠目させられました。
一つは手広くお酒の販売(主に飲食店への卸)をされている会社で「お酒」にフォーカスし、買い手で有る飲食店を連れて海外の生産者を訪問し、その場で買い付けもして貰おうと言う意図で、自社を媒介して需要者と生産者を繋ぎ、双方との関係を強化すると共に、本業の売上を拡大する事が目的との事です。
もう一つは、富裕層の不動産売買を専門とする会社で、今後更に顧客との接点を増やし、関係を維持・強化するため、仕業をはじめ専門家の方々とチームを組み、不動産以外の資産の管理や運用、留守宅・空家の管理、清掃や補修業者の紹介へとサービスを拡充していく中で、旅行や移住のお世話もサービスに加えたいというご希望です。顧客それぞれの価値観や経済感覚、目的を十分に把握して、それに合った提案は既存の旅行会社では難しいと言う富裕層の声を受けてのご相談でした。
二つに共通するのは「旅行業」での収益を全く想定していない点です。逆に、自身も同行するケース等においては、旅行そのものでは持ち出し=赤字でも良く、顧客との接点を増やし濃くすることを目的としているところです。
もう一つの共通点は、自社でライセンスを取り、顧客とのやり取りは自社で行うものの、実際の手配等に関しては既存の旅行会社や手配のプロに任せるという分業をベースに考えておられる点です。
我々が上記のような取組をする事は難しいかも知れませんが、得意とする「手配」を担う形で新たな顧客を間接的に獲得する可能性は有りそうに思います。
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事