【若手ホテリエ覆面座談会・前編】キャリアアップに他ホテルへの出向/転職は必要?

東京・沖縄の若手ホテリエに聞く、現状と今後の展望

-東京と沖縄という、立地も客層も違うホテルにそれぞれ勤めていらっしゃいますが、自身が感じている生活・仕事のメリットやデメリットについてお聞かせください

両方のホテルを経験していますが、東京と沖縄は生活と情報量がだいぶ違うというのが実感です。沖縄は新しいスポットが少なく雑誌などの紙の情報が遅めですが、自然が豊かで、友人と海に行ったりキャンプをしたりと、コミュニティに属している感じが強いと思います。便利さを求めるよりは自然と調和してゆったりとした時間を過ごす感じです。

一方、東京は新しいモノや情報、テクノロジーが欲しいだけ手に入り、進化するスピードについていくのが面白いですが、家賃が高いです。沖縄の方が経済的にも精神的にもリラックスして働けると思います。

仕事面では、沖縄などの地方のホテルは視野が広くなる可能性が高いと思います。現在勤めているサービスアパートメントは業務が縦割りで任される仕事の範疇が狭く、専門的だと感じています。沖縄は人手が潤沢ではないこともあり、自分の業務以外のことをせざるを得ませんが、視野が広くなります。マネジメントをやりたいのであれば、広く物事を身につけた方がいいと思うので、地方のホテルは環境が良く、ある意味チャンスです。都内でマネジメントを頑張るのであれば、意識を高く持ち続けないと難しいと思います。

生活面でいうと、沖縄は車で通勤する人が多い点が東京と違うと思います。車内のプライベート空間でカラオケをしたり、海を見ながらドライブを楽しんだりすることは、沖縄ならではです。また、社員同士の交流も盛んで、バーベキューなどをよく楽しんでいます。

今はインターネットが発達したことでファッションの格差もなくなり、買い物もネットショッピングでできます。沖縄はテレビのチャンネルが少ないですが、TVer(ティーバー)で見たいテレビ番組を見ることができるので困りません。

フロント勤務をしていたときは、夜勤あけに家に帰ってシャワーを浴びたあと、海を見ながらお酒をのんびり飲んで寝る、という生活をしていました。沖縄は海が身近で自然が豊かなのが魅力です。一方、休日は他県に比べて楽しめる場所が少ないです。私はコーヒーが好きなのですが、行ってみたいカフェはたいてい東京にあるのでうらやましいです。

海でビールはうらやましいですね。夏に同じグループの沖縄のホテルに行ったのですが、人と人との関係が密接で、東京には人間が求めている本質的な豊かさはないのでは?と感じてしまいました。

仕事面では、東京の魅力は他のホテルの経営者や総支配人クラスと近い距離で直接話す機会を見つけられることです。ただ、環境が整いすぎている分、低温でじっくりゆでられているという感じで、いつ卒業するのかの見極めが難しいと思います。

-それぞれのメリット・デメリットをお話しいただきましたが、それを踏まえた上で、東京/沖縄のホテルでも働いてみたいと思いますか

機会があればまた沖縄に行きたいです。沖縄のきれいな海、独自の文化、ライフスタイル、人とのつながりは大いに魅力的です。仕事の面では、都内も沖縄も変わらず大変な部分はありますが、そのときどきの価値基準に左右されない豊かな自然の中での生活は、快適で自分は好きでした。

東京に出向してみたいです。リゾートとは違うインバウンドやビジネスのお客様へのサービスを最前線で経験できますし、経営陣や本社機能も東京にあることが多いので、そうした人たちと関わることで多角的視点を養いたいと思っています。

同じく出向したいと思っています。東京は仕事に向き合う姿勢や情報量、スピード感が違うと思います。そうした環境に身を置くことで、座学やオンラインでは難しいことが身につくと思います。また、今後も沖縄に貢献したいので、外から見る沖縄も知るべきだと思っています。

夏に沖縄のグループホテルで働く機会がありましたが、豊かな自然と人とのつながりが強い沖縄の皆さんの生活がうらやましくなりました。沖縄のリゾートホテルはホテル内でのお客様の滞在時間が長いので、よりお客様の顔が見えますし、お客様の詳しい情報を知った上でできるパーソナルサービスはどれだけあるだろうと、思っていました。

ですが、今は少し気持ちが変わってきています。もう二度とやってこない若い時期にキャリアの可能性を広げたいということ、東京は目標であり憧れの業界の先輩方から直接学び、成長し続けられる機会が充実していることから、今は東京のホテルで働き続けたいと思っています。