日本文化体験サービスを逆境下でも拡大する理由とは?-Deeper Japan代表の石川光氏

文化を深堀りした体験をキュレーションして提供
対象エリアを次々に拡大、海外も視野に

-お客様が減少するなか、積極的な展開を続けることができている理由をお教えください

ロゴマークは「金継ぎしたお皿」をイメージ。旅行者と旅先ならではの体験をつなぎ合わせるような存在であり続けたい、という想いをこめた

石川 Deeper Japanは合同会社シュタインの1つのアームとして育てている事業だ。このため、旅行専業の会社よりもだいぶゆとりがあり、単独ではなかなかGOと言いにくい状況のなかでも業務を拡大できる。

 合同会社シュタインでのコンサルティングはお客様ありきのプロジェクトベースなので、短期的に収益を作りやすいが継続性があまりなく、コンサルタントのキャラクターに依存している。一方、Deeper Japanは仕組みさえ作れば自分がいなくても事業が成り立つ。BtoBで幅広いお客様に選んでもらい、BtoCで消費者の認知を高め、事業が育ってお客様が来るようになれば、安定して伸びていくと思っている。合同会社シュタイン内で100%管理できるのもメリットだ。

-自社のみならずDMOや各地の事業者と提携をしていますが、今後の展開についてお考えをお聞かせください

石川 見ていて「いいな」と思うサービスを提供しているところが増えているが、そういうところは局地的な場所でDMOや行政と連携して体験を提供している場合が多い。しかし、地方の一都市だけにピンポイントに行きたい人はなかなかいないだろう。我々のように、いくつかの対象エリアがあり、多様な体験をそろえており、ワンストップで決済まで可能という点はお客様にとって魅力的だと思う。

京都の「芦生の森」でのトレッキング。地元を知り尽くしたネイチャーガイドがしっかりサポートしてくれる とはいえ、ピンポイントな地域で体験を提供しているところでは、我々だけでアクセスできない、現地ならではのコネクションをお持ちの方がたくさんいる。そういう方たちとは競合するのではなく、積極的に連動していきたい。例えば京都では、京都大学の研究林のなかでトレッキングしているネイチャーガイドとタッグを組んだ。

 地方の体験をDeeper Japanで一緒に売りたいといってくれる方がいらっしゃるのであれば、我々がクオリティまでキュレートさせてもらい、率先して一緒に販売していきたい。彼らにとっても、Deeper Japanという販売チャネルが増えるというメリットがあるだろう。

-最後に、観光業界の方にメッセージをお願いします

石川 文化に一歩踏み込んだ体験をすることで、その土地の文化をより深く知り、より楽しめてまた来たくなると思う。インバウンドのリピーター率は高いというが、旅行会社にとってもお客様のリピートにつながるのはメリットだろう。まずは、Deeper Japanの体験プログラムを皆様に体験してもらい、その上で我々の体験を活用して、「旅のすばらしさを広げる」というすばらしい業務に邁進していただければと思う。

-ありがとうございました