日本文化体験サービスを逆境下でも拡大する理由とは?-Deeper Japan代表の石川光氏

文化を深堀りした体験をキュレーションして提供
対象エリアを次々に拡大、海外も視野に

-新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が長引くなか、どのようにビジネスを展開していく予定ですか

日本刀の鍛錬見学は実際の仕事場に入って見る  現在は日本在住の外国人や、訪日旅行が再開したときにプロモーションしたいという海外の旅行会社から、月に数件ほどオファーが来ているほか、BtoCで日本人からも申し込みが来ている。こうしたなか、コロナ対策として政府もしくはWHOの指針に従ってやるべきことを徹底している。

 もともと弊社では大人数向けの画一的な体験ではなく、稽古場や作業場などで多くて10名、平均5名程度の少人数を対象に体験を提供している。三密対策や少数対応は扱ってきた体験と親和性が高く、マスク、検温、体調管理もしやすい。

 Zoomなどでのオンライン体験は、我々が求めているクオリティの体験ができるかどうか悩ましく、まだ踏み切れていない。技術が進化してやり方を工夫すればできるかもしれないが、その土地の空を見て空気に触れて人と話し、「ここに来た」という体感はどうしてもモニター越しでは難しい。

-昨年12月には新たに金沢・北陸エリアへとサービス対象地域を拡大されました

加賀漆を扱ってきた職人を先生に迎えた金継ぎ体験は金沢ならでは石川 全国、ひいては台湾やタイといった海外でも体験を提供したいと考えている。例えば日本人はハワイやイタリア、フランスへと多く訪れるが、旅行すればするほど表層部分しか知ることができず、掘り下げられなかったと感じるのではないか。

 最初のターゲットはインバウンドだったので、需要が高い東京、京都からスタートした。スタートアップとして始めたので、ニッチな地域に行くと体験の申し込みが少なく、サンプルが取りにくく事業として評価しづらいと考えたからだ。昨年のラグビーワールドカップの際は予約件数がうなぎのぼりで、このビジネスモデルでいける、という確信がチーム内でとれた。

 いつ「鎖国」が終わり世界的に人が動きやすくなるかはわからない。しかし、「開国」したときに体験を用意するのでは遅い。予約件数が伸びにくい状況だが、むしろ新しいものを作るタイミングとして良いのではと思い、新しいエリアへの拡大を検討しはじめた。拠点の選定には日本文化が深く根付いていること、宿泊施設がしっかりあること、アクセスが良いこと、などのいくつかの項目に基づいている。金沢は海外の旅行会社からのニーズが高かったこともあり、昨年末にサービスを開始した。

埼玉県とは大宮盆栽村を巡る4種類の商品を造成  このほか、埼玉県やさいたま市の協力のもと、国交省関東運輸局の「訪日グローバルキャンペーンに対応したコンテンツ造成事業」の一環で、大宮盆栽協同組合の盆栽づくり体験や盆栽師の仕事体験などのインバウンド向け商品造成の支援をした。

 まもなく北海道もローンチする予定だ(編集部注:1月20日から提供開始)。北海道は自分の出身地でもある。伝統文化という一般的な枠ではなく、自然体験や、自然の中にある文化を大切にした体験を提供する。また、このほかにもエリアの拡大を検討している。