日本旅館協会会長 浜野浩二氏
回復の年に臨んで
苦難の年が明け、試練の年が始まりました。皆様はどのような思いで新しい門出にお立ちでしょうか。昨年は年末にかけ再び感染が拡大し、GoToトラベルの運用に大きな影響が及びました。このご挨拶が皆様のお手元に届くころには事態はどうなっているのでしょうか。
協会ではこのような状況の中、それぞれの委員会で活発な議論が行われています。やがてコロナが終息を迎えた時、協会が力強くコロナ後にステップを踏み出す為、目前の解決すべき問題に取り組んでおります。
また、新型コロナウイルス対策本部では主に二つのテーマに取り組んでいます。
一つ目は金融関係です。
多くの会員が直面する資金的な問題については、昨年2月以降重層的な国の支援により事業を繋ぐ事が出来ました。7月からのGoToトラベルキャンペーンで順調になりつつあった矢先、再び感染の拡大で不透明感の中に居ます。12月、3月と金融的な山を迎える中、昨年12月に全国9ブロックで関係機関との金融懇談会を開催し、更なる支援と全国一律変わらぬ基準の徹底を確認したところであります。危機対応に臨み金融機関に詳しい弁護士との契約を行い、会員の利便を図っております。また更なる国の金融支援を要請しながらも補給一辺倒では限界があるのも理解するところであります。コロナ以後旅行形態が大きく変化することも予想されますが新しい形態に合致する旅館ホテルの改修等については補助、特別な融資制度の新設をお願いしております。
政府は昨年12月3日コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた観光業の再生を図る「感染拡大防止と観光需要回復のための政策プラン」を発表し、その中の一つに宿泊施設の改修に補助金を出すとあります。持て余し気味の大宴会場を再利用する、客室2部屋を1部屋にする、ワーケーションスペースを作る等、創造的な施設の誕生を目指すものであります。これを利用して新時代に即応する施設転換を図って頂きたいものです。
二つ目はどのようにかつての状態に戻るかという話になります。
政府はGoToトラベルの6月までの延長を表明されました。ここに向かって努力をして参りましたのでひとまず安心しているところです。
総理大臣がマスコミに叩かれながら首尾一貫GoToトラベルの意義、存続を発言され続けている事に深く感謝するところであります。
民間事業者のアトランダムなPCR検査で陽性率は1.0%から1.5%、つまり日本には100万人を超える感染者がいることになります。死亡者が2500人とするとどうなるでしょう。陽性者の隔離は意味が無く重症者対策が中心になるはずです。失業率が1%上昇すると自殺者が3000人増えるとのことです。
GoToトラベルは宿泊業界の為だけではなく、経済波及効果からすべての産業・地方の為にあると理解しております。宿泊業界としてあらゆる機会を捉えしっかり発信していかなければならないと考えています。
昨年末にはワクチンや感染者が持つ抗体の話など前向きな話を聞く事ができました。春に向かい更に明るいニュースを期待しています。
今年はオリンピック・パラリンピックの年です。”冬来りなば春遠からじ”、今を耐え、人智を尽くして新しい年に立ち向かおうではありませんか。