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ニューノーマル時代のツーリズム、官民が今できること-ツーリズムEXPO

ツーリズムを見直し新しい価値の創造をめざす
withコロナのツーリズムのヒントとは?

会場の様子

 従来とは異なる新しい生活様式・旅行スタイルが求められるようになった「ニューノーマル」の時代に、海外の往来を再活性化し、観光産業を再び成長軌道に乗せるには何が必要かー去る10月29日から11月2日まで開催された「ツーリズムEXPOジャパン 旅の祭典 in 沖縄」では、初日に開会式と基調講演に続き、「コロナ感染を乗り越え、強靱で持続可能な観光産業をめざす」をテーマにしたインターナショナル・フォーラムを実施。パネリストとして駐日大使3名、日本の観光産業関係者3名の計6名が登壇し、モデレーターの司会の下でそれぞれの立場から議論を展開した。

パネリスト
エジプト・アラブ共和国大使館 特命全権大使 アイマン・カーメル氏
スペイン王国大使館 特命全権大使 ホルヘ・トレド氏
タイ王国大使館 特命全権大使 シントン・ラーピセートパン氏
観光庁 国際観光部長 金子知裕氏
株式会社JTB 代表取締役 社長執行役員 山北栄二郎氏
日本政府観光局(JNTO) 理事長代理 吉田晶子氏

モデレーター
株式会社コネクトワールドワイド・ジャパン 代表取締役 マージョリー・デューイ氏

ツーリズムは安全で強い社会の起爆剤になる

 フォーラムを始めるにあたり、モデレーターのデューイ氏は「ツーリズムは安全で強い社会の起爆剤となり得る」との主張の下、「官民が協力して新たな価値を創造すること、そして人々の往来をさらに活発にしていくこと」を今回の主要なテーマに設定。各パネリストが発表する内容からヒントを得て、ベストプラクティスを皆で共有し、「観光産業の持続的な成長を可能とするような、新しいプラットフォームを構築することが喫緊の課題だ」と述べた。

 また、ニューノーマルの時代に突入した現在、官民には具体的に何ができるのか、どのような施策を実施すべきか、地域コミュニティーと観光産業の関係はどうあるべきか、等について議論を重ねる必要性を説き、その際には「経済・社会・環境という3つの側面から光を当てていかなければいけない」とも語った。

ラーピセートパン氏(中央)

 フォーラム本番ではまず各パネリストが一人ずつプレゼンテーションを行い、その後モデレーターからの質問やリクエストに個別に応答した。最初の発表者であるタイのラーピセートパン氏は、「どの国の政府も観光産業の再活性化に向けて、長期的なソリューションを見つけようと躍起になっているが、そのためには経済の回復と健康の担保とのバランスを図ることが必要だ」した上で、自国の取り組みを紹介。

 国内観光産業の再建策として、タイ版GO TOともいえる「We Travel Together」キャンペーンを7月から実施する一方で、海外との往来の完全再開を目指し、少しずつ「開国」の準備を進めていると説明した。例えば主にビジネス目的に限られていた入国条件を長期滞在者にまで広げ、90日間の特別観光ビザの発給を認め、繰り返し延長できるようにした。

 また、国内で観光業やサービス業を営む事業者には通称SHAと呼ばれる衛生安全基準の認定制度を導入し、渡航者の滞在中の健康を担保している。もちろんタイのやり方を他国にそのまま適用できるとは限らないが、「標準化のレベルを地域から国、さらに広範なエリアへと広げていくことが、持続可能で安全・強靱な社会の形成につながる」とコメントした。